福音の提示（1）

パウロの説教が続く。彼は、ユダヤ人の歴史を回顧した後、福音の提示に入る。「神は、このダビデの子孫から、約束に従って、イスラエルに救い主イエスをお送りになりました」。（1）パウロの説教は、ダビデからイエスに約1,000 年間飛ぶ。①イエスとは誰か。イエスは、ダビデの子孫だが、ダビデよりも偉大なお方である。イエスは、約束に従って神からイスラエルの民に送られた救い主である。②約束とは何か。「エッサイの根株から新芽が生え、その根から若枝が出て実を結ぶ」（イザ11：1）。「その日、エッサイの根は、国々の民の旗として立ち、国々は彼を求め、彼のいこう所は栄光に輝く」（イザ11：10）。（2）神はダビデ契約によって、ダビデ王朝が永遠に続くことを約束された。①ダビデ契約は、イスラエルの民の心をメシア到来に向けて準備した。②イエスは、ダビデの王座に着く永遠の王である。③アミダー（十八祈祷文）の15 番目の祈りは、メシアの到来を願う祈りである。
「この方がおいでになる前に、ヨハネがイスラエルのすべての民に、前もって悔い改めのバプテスマを宣べ伝えていました。ヨハネは、･･･こう言いました。『あなたがたは、私をだれと思うのですか。私はその方ではありません。･･･』」。（1）パウロはここで、バプテスマのヨハネを紹介する。①ヨハネは、主の道を整えるという自らの使命を果たした（マラ3：1 と4：5 の預言の成就）。②バプテスマのヨハネの奉仕から約20 年が経過していたが、彼は依然としてユダヤ人共同体では有名であった。（2）ヨハネの奉仕のクライマックスは、以下の宣言である。①私は、メシアではない。②メシアは、私のあとから来られる。③私は、その方のくつのひもを解く値打ちもない。
「兄弟の方々、アブラハムの子孫の方々、ならびに皆さんの中で神を恐れかしこむ方々。この救いのことばは、私たちに送られているのです」。（1）再びパウロは、ユダヤ人と神を恐れる異邦人に語りかける。「この救いのことば」とは、「イエスが約束の救い主である」ということである。（2）神が与える究極的な備えは、約束のメシアの派遣である。①神は常にイスラエルの民を守り、彼らの必要に応えて来られた。②しかし民は、常に神に対して反抗的であった。③イスラエルの指導者たちは、イエスに関しても同じ過ちを犯した。
福音は、神から私たちに差し出された贈り物である。感謝してそれを受け取る人は、幸いである。