57 イエスをつかまえた人たちは、イエスを大祭司カヤパのところへ連れて行った。そこには、律法学者、長老たちが集まっていた。
58 しかし、ペテロも遠くからイエスのあとをつけながら、大祭司の中庭まで入って行き、成り行きを見ようと役人たちといっしょにすわった。
59 さて、祭司長たちと全議会は、イエスを死刑にするために、イエスを訴える偽証を求めていた。
60 偽証者がたくさん出て来たが、証拠はつかめなかった。しかし、最後にふたりの者が進み出て、
61 言った。「この人は、『わたしは神の神殿をこわして、それを三日のうちに建て直せる』と言いました。」
当時、ユダヤ人たちは死刑を執行する権利を剥奪されていた。つまり、ユダヤの法廷で死刑判決を出しても、ローマの法廷で同じ判決が出ない限りは、死刑を執行することができなかったのである。そこで彼らは、①宗教裁判で死刑判決を出し(冒涜罪)、②次にイエスをローマの法廷に訴えようとした(反逆罪)。当時のユダヤ人たちが置かれていた立場からすると、イエスを死刑にするのは容易なことではなかった。
さて、逮捕されたイエスは、先ずアンナスのところへ連行されたが(予備審問、ヨハネ18 章)、その部分はマタイの福音書では省かれている。アンナスは、紀元7 ~14 年まで大祭司を務めたが、それ以降も、陰の実力者として君臨していた。この年の大祭司であったカヤパは、アンナスの娘婿である。神殿内での両替や犠牲の動物の売買は、アンナス一家の管理下にあった。イエスが公生涯の最初と最後に行った「宮きよめ」は、アンナスにとって赦せないことであった。
アンナスは、イエスを大祭司カヤパのもとに送った。(1)カヤパの官邸にサンヘドリン(ユダヤ議会)が召集された。ユダヤの律法(ミシュナ法)によれば、サンヘドリンは神殿内でのみ召集されるものであるから、これは違法行為である。(2)サンヘドリンは71 人の議員からなっていたが、議会を開会するためには、最低23 人の出席が必要であった。この夜の召集はあまりにも唐突だったので(先例がない)、出席した議員は少数であったと思われる。少なくとも、ニコデモやアリマタヤのヨセフには、声はかからなかったであろう。(3)大祭司カヤパは、イエスを訴えるための偽証を求めていたが、うまく行かなかった。最後の二人が、「この人は、『わたしは神の神殿をこわして、それを三日のうちに建て直せる』と言いました」と偽証した。これこそ、カヤパが求めていた証言である。神殿の破壊は、ローマの法廷でも死刑に値する重罪である。
イエスを死刑にしようとしていた人たちがいかに混乱し、慌てふためいていたかに注目しよう。彼らは、過越の祭りが終わってからイエスを逮捕することにしていたが、神の時はすでに来ていた。イエスは、過越の祭りの間に十字架につくことになっていた。神の時が来たなら、だれもそれを止めることはできない。神の時が来たなら、私たちに対する神の計画はすべて実現する。その確信は、試練に耐える力となる。きょうも、主イエスに忠実にお仕えしよう。
きょうの祈り
天の父よ。私の心には多くの計画があります。しかし、あなたの御心だけが成ります。あなたの時を待ち望み、忍耐をもって歩むことができますように。主イエス・キリストの御名によって祈ります。アーメン。
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