14 そのとき、十二弟子のひとりで、イスカリオテ・ユダという者が、祭司長たちのところへ行って、
15 こう言った。「彼をあなたがたに売るとしたら、いったいいくらくれますか。」すると、彼らは銀貨三十枚を彼に支払った。
16 そのときから、彼はイエスを引き渡す機会をねらっていた。
ユダの役回りについて考えてみよう。(1)彼は、弟子集団の会計係を務めていたが、一行が共有していた財布から金を盗んでいた(ヨハ12:6)。(2)金銭に弱い彼の心に、サタンが入った(ルカ22:3)。つまり彼は、単なる悪霊つきではなく、サタンつきになったのである。それ以降彼は、サタンの計画を実行する器となった。サタンは、イエスが過越の祭りの期間に死なないように画策していた。(3)ユダは、祭司長たちへの内通者として働き、密かにイエスを逮捕するための道を用意した。(4)ユダは、銀貨30 枚を手に入れた。シェケル貨30 枚というのは、死んだ奴隷の代金である(出21:32)。ここに痛烈な皮肉がある。イエスのいのちは、死んだ奴隷のいのちと同じに見做されたのである。(5)その銀貨は、神殿の金庫から出された。神殿の金庫にある貨幣は、本来は犠牲の動物を買うためのものである。彼らは、無意識のうちに、過越の小羊であるイエスを買い取っていたのである。(6)祭司長たちがユダを必要とした理由は、それ以外にもある。ローマ法に基づいてイエスを告発するためには、告発する人物が必要であった。さらに、裁判が始まってからは、証人が必要となる。ユダは、その役割を果たすことになっていた。
「ユダはかわいそうではないか」という声をよく聞く。しかし、それは正しい理解ではない。ユダが裏切らなくても、イエスはなんらかの方法で逮捕され、十字架につけられていたからだ。そもそも十字架とは、イエスが自発的についてくださるものである。「イエスは、なぜユダを選んだのか」。これは神秘である。ただ言えることは、ユダはそうなるように運命づけられていたのではないということである。イエスは、ユダをも愛し、彼に悔い改めの機会を何度も与えておられる。しかし彼は、悔い改めの機会を生かそうとはしなかった。彼は、自分の意志でサタンに心を開き、イエスを売り渡した。
祭司長たちは、過越の祭りが終わってからイエスを殺そうとした(これはサタンの策略でもあった)が、イエスはそのような祭司長たちの謀略を見事に粉砕し、過越の祭りの間に十字架にかかられた。ユダの選びは確かに神秘的である。しかし、それと同じように神秘的なのは、「神は、どうして私のような者を選ばれたのか」ということである。ユダのことよりも、自らが恵みによって選ばれていることを思い、御子イエスを通して父なる神に感謝をささげようではないか。
きょうの祈り
天の父なる神さま。私は恵みによって選ばれ、永遠のいのちを受ける者とされました。きょうも、あなたによって愛されている者として、まっすぐに歩ませてください。主イエス・キリストの御名によって祈ります。アーメン。
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