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サムエル記第一2:4~11

4 勇士の弓が砕かれ、弱い者が力を帯び、

5 食べ飽いた者がパンのために雇われ、飢えていた者が働きをやめ、不妊の女が七人の子を産み、多くの子を持つ女が、しおれてしまいます。

6 【主】は殺し、また生かし、よみに下し、また上げる。

7 【主】は、貧しくし、また富ませ、低くし、また高くするのです。

8 主は、弱い者をちりから起こし、貧しい人を、あくたから引き上げ、高貴な者とともに、すわらせ、彼らに栄光の位を継がせます。まことに、地の柱は【主】のもの、その上に主は世界を据えられました。

9 主は聖徒たちの足を守られます。悪者どもは、やみの中に滅びうせます。まことに人は、おのれの力によっては勝てません。

10 【主】は、はむかう者を打ち砕き、その者に、天から雷鳴を響かせられます。【主】は地の果て果てまでさばき、ご自分の王に力を授け、主に油そそがれた者の角を高く上げられます。」

11 その後、エルカナはラマの自分の家に帰った。幼子は、祭司エリのもとで【主】に仕えていた。

ハンナの賛歌(2)

人生の逆転(4~6節)

前回に続いて、ハンナの賛歌を学びます。彼女は、主がもたらす人生の逆転劇について語っています。(1)勇士が低くされ、弱いものが力あるものとされるようになります。(2)パンに飽いていた者がパンのために雇われるようになり、餓えていた者が満ち足りるようになります。(3)不妊の女が7人の子を産み、多産の女がしおれるようになります。7人の子とは完全数であり、「多くの子」を意味する言葉として用いられています。ちなみに、ハンナ自身はサムエルを含めて6人の子を産むようになります。(4)主は生ける者の命も、死んだ者の命も支配しておられます。主はまさに、私たちの祈りに答えてこのような逆転劇を生み出すことのできるお方です。

メシア的王国の預言(7~10節)

次にハンナは、メシア的王国の預言を語っています。貧しい者が栄光の位を継ぐようになるのは、メシア的王国が到来して以降のことです。その王国の中央に君臨されるお方が、「王」であり、「主に油そそがれた者」です。「主に油注がれた者」の原語は、メシアです。ここは、メシアという言葉が初めて聖書に登場する箇所です。ハンナははるか先に実現するメシアによる王国の成就を、聖霊によって予見することができたのです。
ハンナの歌は、イエスの母マリヤに引き継がれました。ルカの福音書1:4655を見ると、マリヤの賛歌がハンナのそれとよく似ていることに気づきます。マリヤはイエスの誕生を目前に控え、胎内の赤子こそ約束のメシアであることを理解したのです。それゆえ、メシア的王国を預言したハンナの賛歌が身に迫ってきたのでしょう。ハンナとマリヤとは、ともに聖霊によって主の人類救済計画の高嶺を見ることを許された人物でした。

帰宅(11節)

幼子サムエルを祭司エリに渡して、エルカナとハンナとは帰路に着きました。幕屋にはそこで仕える女たちも多数いました。サムエルは、その中のひとりによって養育されたのでしょう。ハンナは母親としての情を捨てて、幼子の生涯を主の御手に委ねました。信仰者の決断がそこにあります。

きょうの祈り

全知全能の神よ。あなたのご計画は、人知をはるかに超えたものです。どうか私にもハンナが持っていた霊性を与えてください。主イエス・キリストの御名によって祈ります。アーメン。

年間聖書通読

出エジプト記35~36、ヨハネの福音書15