62 そこで、大祭司は立ち上がってイエスに言った。「何も答えないのですか。この人たちが、あなたに不利な証言をしていますが、これはどうなのですか。」
63 しかし、イエスは黙っておられた。それで、大祭司はイエスに言った。「私は、生ける神によって、あなたに命じます。あなたは神の子キリストなのか、どうか。その答えを言いなさい。」
64 イエスは彼に言われた。「あなたの言うとおりです。なお、あなたがたに言っておきますが、今からのち、人の子が、力ある方の右の座に着き、天の雲に乗って来るのを、あなたがたは見ることになります。」
65 すると、大祭司は、自分の衣を引き裂いて言った。「神への冒涜だ。これでもまだ、証人が必要でしょうか。あなたがたは、今、神をけがすことばを聞いたのです。
66 どう考えますか。」彼らは答えて、「彼は死刑に当たる」と言った。
67 そうして、彼らはイエスの顔につばきをかけ、こぶしでなぐりつけ、また、他の者たちは、イエスを平手で打って、
68 こう言った。「当ててみろ。キリスト。あなたを打ったのはだれか。」
イエスを裁くのは、サンヘドリン(ユダヤ議会)であるが、訴訟を指揮しているのは、大祭司のカヤパである。これは、イエスを死刑にするために仕組まれた宗教裁判である。さてイエスは、ここまで口を開くことなく沈黙しておられた(黙秘権が認められていた)。それに業を煮やしたカヤパは、神の御名によって証言することを命じた。ユダヤの律法(ミシュナ法)によれば、この場合は黙秘権を行使することが許されなくなる。「あなたは神の子キリストなのか、どうか」。それに対してイエスは、こう答えた。「あなたの言うとおりです。なお、あなたがたに言っておきますが、今からのち、人の子が、力ある方の右の座に着き、天の雲に乗って来るのを、あなたがたは見ることになります」。(1)イエスは、神の子が人となられたお方である(2)イエスは、やがて父なる神の右の座に着座される。これは、昇天の後に成就する。(3)さらに、イエスは天の雲(栄光の雲)に乗って地上に戻って来られる。これは、再臨の預言である。
これ以降、数々の律法(ミシュナ法)違反が続く。(1)大祭司が衣を引き裂くのは、律法違反である。(2)訴訟を指揮している大祭司が、自分の判断を差しはさむのは律法違反である。しかし彼は、「神への冒涜だ」と断じ、「これでもまだ、証人が必要でしょうか。あなたがたは、今、神をけがすことばを聞いたのです」と叫んだ。実のところ、証人は一人も残されていなかったのである。(3)有罪判決があって三日後に量刑が決まるのだが、議員たちは即座に「彼は死刑に当たる」と宣言した。(4)ユダヤ議会においては、全会一致の決定は認められていなかった。事前工作があったと推測されるからである。全会一致の場合は、無罪が宣告された。イエスの裁判では、この規定も無視された。(5)議員たちは、イエスの顔につばきをかけ、こぶしでなぐりつけ、平手で打った。これらの行為は、すべて罰金刑に値するが、罰金が科せられたという記録はない。
この宗教裁判には、正義も秩序もなかった。議員たちには、王の王である方を裁くことがいかに愚かで、恐ろしいことであるかが見えていなかった。私たちもまた、王であるイエスを無意識のうちに裁いているような時がある。神への不平を口にしたり、不信仰を表明したりする時、私たちは主イエスを裁いているのである。霊の目が開かれ、イエスの前にひざまずく者とされるように、祈ろう。
きょうの祈り
天の父よ。今、イエスは主なりと告白し、その御前にひざまずきます。主イエス・キリストの御名によって祈ります。アーメン。
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歴代誌 第二35~36、ヨハネの黙示録22
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