27 彼女の出産の時になると、なんと、ふたごがその胎内にいた。
28 出産のとき、一つの手が出て来たので、助産婦はそれをつかみ、その手に真っ赤な糸を結びつけて言った。「この子が最初に出て来たのです。」
29 しかし、その子が手を引っ込めたとき、もうひとりの兄弟のほうが出て来た。それで彼女は、「あなたは何であなたのために割りこむのです」と言った。それでその名はペレツと呼ばれた。
30 そのあとで、真っ赤な糸をつけたもうひとりの兄弟が出て来た。それでその名はゼラフと呼ばれた。
義父のユダによってタマルは双子の男子を産んだ。(1)ここには、兄と弟の逆転がある。助産婦は長子の手に真赤な糸を結びつけたが、弟が兄を押しのけて先に出て来た。これは、エサウとヤコブの誕生を思い出させる状況である。(2)先に出て来たほうは、ペレツ(割りこむ)と呼ばれ、次に出て来たほうは、ゼラフ(輝く:おそらく手に結びつけられた糸から出た名)と呼ばれた。(3)この双子のうち、メシアの家系につながるのは弟のペレツである(ルツ4:12、マタ1:3、ルカ3:33 参照)。(4)創世記38 章全体が異常なエピソードで満ちているが、その終わりもまた尋常なものではない。
すでに述べたように、創世記38 章は、ヨセフの物語を中断するような形で挿入されている。ユダの物語によって、いくつかのことが明らかになった。(1)ヤコブの一家がエジプトに下らねばならない理由が明らかになった。ヤコブの一家がこのままカナンの地に留まるなら、彼らはカナン人と同化し、契約の民としての清さも特徴も失うようになる。そこで神は、彼らをエジプトに移住させるための準備をされた。エジプト移住は神からの裁きであると同時に、ヤコブの一家を守る恵みの手段でもあった。ユダの堕落と同時進行で、エジプトでのヨセフの高潔さが明らかになっていく。ローマ5:20 には、「罪の増し加わるところには、恵みも満ちあふれました」とある。私たちの罪が深くなればなるほど、神の恵みの深さが身にしみてくる。(2)契約の民は、エジプトに移住し、ゴシェンの地でエジプト人からも分離して一大民族として育つ。エジプト移住の道備えをするのがヨセフである。従って38 章は、39 章以降の物語が展開するための土台となっている。イスラエルの民は、この世(カナン人)と分離する必要があった。しかしそれは、より良き神の器となってこの世に出て行くための分離である。私たちもまた、自分自身をこの世から分離させる時間を意識的に作り、この世に出て行く準備をする必要がある。(3)メシアの系図の中にタマルの名が入った経緯が明らかになった(マタイ1 章の系図)。タマルは恐ろしい罪を犯したが、その彼女の名がメシアの系図の中に登場することになった。これにより、イエス・キリストにあっては赦されない罪がないことが明らかになったのである。
神の計画は人知をはるかに超えたものである。その恵みのゆえに、神の御名を称えよう。
きょうの祈り
天の父なる神さま。日々静まる時間を取りこの世に出てくための準備をすることができますように。主イエス・キリストの御名によって祈ります。アーメン。
年間聖書通読
サムエル記第二15~16、使徒の働き9
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