13 ふたりが話し終えると、ヤコブがこう言った。「兄弟たち。私の言うことを聞いてください。
14 神が初めに、どのように異邦人を顧みて、その中から御名をもって呼ばれる民をお召しになったかは、シメオンが説明したとおりです。
いよいよ、議長であるヤコブが発言する番が来た。「ふたりが話し終えると、ヤコブがこう言った。『兄弟たち。私の言うことを聞いてください』」。(1)ヤコブはイエスの異父弟である。何の説明もなしにヤコブという名が出て来るのは、誰もが彼のことをよく知っていたからである。(2)彼は、イエスの公生涯の間は不信者であったが、復活のイエスに出会って信者になった(1 コリ15:7)。(3)その後彼は、18 年間エルサレム教会の監督を務めた(44 ~ 62 年)。使徒たちはそれぞれの宣教地に散って行ったので、ヤコブがエルサレム教会を導くという重責を負ったのである。教会史の伝承では、彼は「義人ヤコブ」と呼ばれている。また、彼の膝はラクダの膝のように堅くなっていた(祈りのために)とされる。彼は大変評判の良い指導者で、立派に責務を果たした。(4)彼は、ヤコブの手紙の著者である。①彼は、トーラーを大切にした。②彼は、信仰には行動が伴うということを強調した。③ヤコブの手紙は、イエスの「山上の垂訓」を思い出させる(マタ5 ~ 7 章)。④ヤコブが用いているギリシア語は洗練されていて、ガリラヤの労働者の一般的な教育水準以上のものを感じさせる。現在、ギリシア・ローマ風文化のガリラヤ地方への影響の見直しが始まっている。(5)ヤコブは、聴衆が耳を傾けてくれるように要請した。
「神が初めに、どのように異邦人を顧みて、その中から御名をもって呼ばれる民をお召しになったかは、シメオンが説明したとおりです」。(1)ヤコブはペテロを「シメオン」というアラム語(ヘブル名はシモン)で呼んだ。これは、ペテロのユダヤ性を強調するため、また、親愛の情を表現するためである。(2)「初めに」という言葉は重要である。バルナバとパウロが最初に異邦人伝道を行ったわけではない。神が異邦人を救われた。そのために、ペテロが用いられたのである。つまり、第一次伝道旅行の前から、異邦人の救いの問題は解決されていたということである。(3)神は、ユダヤ人だけでなく、異邦人の中からも、残れる者を呼び出された。教会は奥義である(旧約聖書では預言されていなかった真理)。ユダヤ人信者と異邦人信者は、キリストにあって「新しいひとりの人」であり、対等な関係にある(エペ2:11 ~ 22、3:6)。異邦人である私たちは、神の恵みによってこの世から呼び出された。そのことを覚え、御名を称えよう。
きょうの祈り
恵み深い父なる神さま。あなたの恵みのゆえに、この世から呼び出されました。それゆえ、御名をほめたたえます。主イエス・キリストの御名によって祈ります。アーメン。
年間聖書通読
歴代誌 第一12~13、ヨハネの黙示録4
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