16 そこでパウロが立ち上がり、手を振りながら言った。「イスラエルの人たち、ならびに神を恐れかしこむ方々。よく聞いてください。
17 この民イスラエルの神は、私たちの父祖たちを選び、民がエジプトの地に滞在していた間にこれを強大にし、御腕を高く上げて、彼らをその地から導き出してくださいました。
18 そして約四十年間、荒野で彼らを耐え忍ばれました。
19 それからカナンの地で、七つの民を滅ぼし、その地を相続財産として分配されました。これが、約四百五十年間のことです。
20 その後、預言者サムエルの時代までは、さばき人たちをお遣わしになりました。
21 それから彼らが王をほしがったので、神はベニヤミン族の人、キスの子サウロを四十年間お与えになりました。
22 それから、彼を退けて、ダビデを立てて王とされましたが、このダビデについてあかしして、こう言われました。『わたしはエッサイの子ダビデを見いだした。彼はわたしの心にかなった者で、わたしのこころを余すところなく実行する。』
ピシデヤのアンテオケの会堂を訪問したパウロとバルナバに、奨励の依頼があった。「そこでパウロが立ち上がり、手を振りながら言った。『イスラエルの人たち、ならびに神を恐れかしこむ方々。よく聞いてください。』」(1)パウロは立って前方に進み、演壇に上って話し始めた。「手を振りながら」とあるが、これは典型的なユダヤ人の話し方である。彼は、2 種類の聴衆に語りかけ、注意を喚起した。①イスラエルの人たち(ユダヤ人)と②神を恐れかしこむ方々(神を恐れる異邦人)である。(2)ルカはこの説教に多くのスペースを割いているが、それでも記録されているのはほんの一部である。内容は、ステパノの説教に似ている。パウロは、ユダヤ人の歴史を要約したが、彼の強調点は2 点ある。①神は、常にイスラエルを顧み、その必要に応えて来られた。②しかしイスラエルは、それに感謝することなく、神に反抗して来た。
「この民イスラエルの神は、私たちの父祖たちを選び、民がエジプトの地に滞在していた間にこれを強大にし、御腕を高く上げて、彼らをその地から導き出してくださいました」。(1)神は、その主権によって族長たち(アブラハム、イサク、ヤコブ)を選び、そこから選びの民をお作りになった。また神は、族長たちと無条件契約(アブラハム契約)を結ばれた。(2)神は、エジプトにおいて選びの民を一大民族に育てられた。しかし彼らは、その地で奴隷となった。(3)神は、選びの民をエジプトから導き出された。これは、無条件契約の約束の成就である。カナンの地は、選びの民に約束された地である。
「そして約四十年間、荒野で彼らを耐え忍ばれました」。(1)しかし彼らは、神に感謝することなく、神に反抗し続けた。①荒野で奇跡的に与えられたマナや水に感謝することはなかった。②また、いつも神に対してつぶやいてばかりいた。(2)民は、不信仰のゆえに荒野を40 年間さ迷うことになった。民数記14:34にはこうある。「あなたがたが、かの地を探った日数は四十日であった。その一日を一年と数えて、四十年の間あなたがたは自分の咎を負わなければならない。・・・」。 出エジプトの世代は死に絶え、新しい世代の者たちがカナンの地に入った。荒野の40 年間は、神が忍耐された期間である。
イスラエルの歴史から教訓を学ぼう。私たちに関しては、不信仰のゆえに荒野の40 年を経験することがないように、神の御業と導きに感謝しよう。
きょうの祈り
イスラエルの神よ。あなたは、私をもその御手によって導いてくださいます。不信仰になるのではなく、感謝する者とならせてください。主イエス・キリストの御名によって祈ります。アーメン。
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エステル記5~6、ペテロの手紙 第一2
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