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使徒の働き13:6 ~ 12

6 島全体を巡回して、パポスまで行ったところ、にせ預言者で、名をバルイエスというユダヤ人の魔術師まじゅつしに出会った。

7 この男は地方総督セルギオ・パウロのもとにいた。この総督は賢明な人であって、バルナバとサウロを招いて、神のことばを聞きたいと思っていた。

8 ところが、魔術師エルマ(エルマという名を訳すと魔術師)は、ふたりに反対して、総督を信仰の道から遠ざけようとした。

9 しかし、サウロ、別名でパウロは、聖霊に満たされ、彼をにらみつけて、

10 言った。「ああ、あらゆる偽りとよこしまに満ちた者、悪魔の子、すべての正義の敵。おまえは、主のまっすぐな道を曲げることをやめないのか。

11 見よ。主の御手が今、おまえの上にある。おまえは盲目になって、しばらくの間、日の光を見ることができなくなる」と言った。するとたちまち、かすみとやみが彼をおおったので、彼は手を引いてくれる人を捜し回った。

12 この出来事を見た総督は、主の教えに驚嘆きょうたんして信仰に入った。

パポス(1)

キプロス島のパポス

「島全体を巡回して、パポスまで行ったところ、」。パポスは、サラミスから約160 キロ南西に位置する島の首都である。サラミスでの伝道の記録はほとんどなかったが、パポスでの伝道に関しては詳細な記録がある。異邦人伝道にとって意味深いことが起こったので、ルカはそれを詳細に記したのである。
「にせ預言者で、名をバルイエスというユダヤ人の魔術師に出会った。この男は地方総督セルギオ・パウロのもとにいた」。(1)バルイエス(イエスの息子、救いの息子)は、偽預言者で、ユダヤ人の魔術師でもある。彼は、魔術師エルマと呼ばれていた。(2)ローマ世界では、総督が助言者をそばに置くことは普通に行われていた。セルギオ・パウロは、ユダヤ人に関する問題について助言を求めるために、バルイエスをそばに置いたのであろう。
「この総督は賢明な人であって、バルナバとサウロを招いて、神のことばを聞きたいと思っていた」。(1)ユダヤ総督(ギリシア語でヘイゲモウンというタイトル)(procurator)は、皇帝によって任命された役職である。総督ポンテオ・ピラト、総督ペリクス(使2324)、総督フェスト(使2630)などがそれである。(2)セルギオ・パウロのタイトルは、総督(ギリシア語でアンスパトス)(proconsul)であるが、これは、元老院によって任命された役職である。キプロス島では、セルギオ・パウロの名を記した紀元5258 年頃の碑文ひぶんが発掘されている。その碑文によれば、彼はアンスパトス(総督)という地位に就いていた。ルカは、歴史家として厳密に役職の呼称を使用している。(3)セルギオ・パウロは、「賢明な人」であった。彼は、バルナバとサウロから個人的に神のことばを聞きたいと思っていた。
「ところが、魔術師エルマ(エルマという名を訳すと魔術師)は、ふたりに反対して、総督を信仰の道から遠ざけようとした」。(1)魔術師エルマは、総督が真剣な求道者になろうとしていることに脅威を覚えた。彼は、自分の既得権益が奪われることを恐れたのである。(2)そこで、彼は伝道の妨害をした。具体的に何をしたのかは記録されていないが、何らかの方法で、総督を信仰の道から遠ざけようとしたのである。
この箇所から教訓を学ぼう。宣教の領域が拡大すると、悪の力との対決が起こる。私たちは、悪霊狩りに行く必要はないが、光と闇の対決が起こることを予測しておく必要がある。闇の力からの妨害は、生けるキリストの力を体験する素晴らしい機会となる。

きょうの祈り

イエス・キリストの父なる神さま。今も悪の力は働いています。妨害を受ける時、生けるキリストの力を体験させてください。主イエス・キリストの御名によって祈ります。アーメン。

年間聖書通読

雅歌3~4、詩篇115~116