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使徒の働き11:27 ~ 30

27 そのころ、預言者たちがエルサレムからアンテオケに下って来た。

28 その中のひとりでアガボという人が立って、世界中に大ききんが起こると御霊によって預言したが、はたしてそれがクラウデオの治世に起こった。

29 そこで、弟子たちは、それぞれの力に応じて、ユダヤに住んでいる兄弟たちに救援の物を送ることに決めた。

30 彼らはそれを実行して、バルナバとサウロの手によって長老たちに送った。

アンテオケ教会の善行(3)

善行の実行

「彼らはそれを実行して、バルナバとサウロの手によって長老たちに送った」。エルサレム教会に援助金を送ったタイミングは、いつなのか。通常ルカは、時間の流れに沿って出来事を記録しているが、ここは例外的な箇所で、テーマに沿って記録を残している。
(1)援助金を送ったタイミングは、もっと後である。より具体的には、使徒12:1 ~ 24 の後である。使徒12:1 ~ 24 には、次のような出来事が記録されている。使徒ヤコブの殉教じゅんきょうペテロの投獄とうごくと天使による解放。迫害者であるヘロデ・アグリッパ王の死(彼は、紀元44 年に死んだ)。(2)これらの出来事の後に、アンテオケ教会は義援金を送ったのである。従って、使徒1130と使徒1225 は、文脈上つながっている。「彼らはそれを実行して、バルナバとサウロの手によって長老たちに送った」(使1130)。「任務を果たしたバルナバとサウロは、マルコと呼ばれるヨハネを連れて、エルサレムから帰って来た」(使1225)。(3)以上のことから、ききんが最高潮に達した時点で、バルナバとサウロが援助金を届けたことが分かる。この援助金は、かなりの時間をかけて集めたものである。パウロにとって、これが2 度目のエルサレム訪問となった。(4)義援金を受け取ったのは、長老たちである。「長老」という言葉が使徒の働きの中に初めて登場する。これは、紀元40 年代に、エルサレム教会に世代交代が起こっていたことを示している。リーダーシップが、12 使徒から、任命を受けた長老集団に移行しつつあった。長老制は、ユダヤ教の会堂の統治制度(長老制)から学んだものである。
異邦人がユダヤ人を経済的に支援するということは、後にパウロが書いたローマ152527 の原則と合致している。「・・・彼らは確かに喜んでそれをしたのですが、同時にまた、その人々に対してはその義務があるのです。異邦人は霊的なことでは、その人々からもらいものをしたのですから、物質的な物をもって彼らに奉仕すべきです」。(1)アンテオケ教会は、エルサレム教会からバルナバを派遣してもらった。バルナバは、アンテオケ教会に霊的祝福を与えた。それゆえ、アンテオケ教会は、エルサレム教会に物質的な物を捧げるのである。(2)アンテオケ教会は、世界宣教のモデル教会であるが、同時に、ユダヤ人信者と異邦人信者の関係のモデル教会でもある。異邦人信者は、ユダヤ人から多くの霊的祝福を受けている。そのことを認め、主の前に感謝の祈りを捧げよう。

きょうの祈り

父なる神さま。私たち異邦人は、ユダヤ人から多くの霊的祝福を受けました。感謝をもって彼らに奉仕します。どうか私を用いてください。主イエス・キリストの御名によって祈ります。アーメン。

年間聖書通読

ヨブ記25~27、ヘブル人への手紙3