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使徒の働き9:1 ~ 2

1 さてサウロは、なおも主の弟子たちに対するおびやかしと殺害の意に燃えて、大祭司のところに行き、

2 ダマスコの諸会堂あての手紙を書いてくれるよう頼んだ。それは、この道の者であれば男でも女でも、見つけ次第縛り上げてエルサレムに引いて来るためであった。

怒りに燃えるサウロ

ダマスコの諸会堂宛ての手紙

「さてサウロは、なおも主の弟子たちに対する脅かしと殺害の意に燃えて、大祭司のところに行き、」。(1)サウロは、迫害の地理的範囲を広げるために、大祭司のところに行った。当時の大祭司はカヤパである。「なおも」は、使徒8:3~ 4 とここを結ぶ言葉である。(2)サウロは、旧約聖書の先例を知っていたはずである。民数記25:1 ~ 5 で、モーセはバアル・ペオルをしたった者たちの殺害を命じた。この神罰で2 万4,000 人が死んだ。 1 列王記1840 で、エリヤはバアルの預言者450 人を殺すように命じた。
「ダマスコの諸会堂あての手紙を書いてくれるよう頼んだ。それは、この道の者であれば男でも女でも、見つけ次第縛り上げてエルサレムに引いて来るためであった」。(1)ダマスコは、人が住み続けている町としては、世界最古の町である。旧約時代、ダマスコ(アラム)はイスラエルの敵になったり、友になったりした。この町には大きなユダヤ人共同体があり(数万人)、会堂も多く存在していた。逃亡者たちがその町に根を下ろせば、悪影響が広がる恐れがある。それゆえ、男女を問わず、見つけ次第縛り上げる必要がある。サウロは彼らをエルサレムに連れ戻り、裁判を受けさせるつもりでいた。(2)当時(教会が誕生して約5 年後)、まだクリスチャンという名称がなかったので、「この道の者」(the Way)が使われている。詩篇1:6 には「正しい者の道」(the way of the righteous)という言葉がある。イザヤ40:3 とルカ3:4 には「主の道」(the way of the Lord)がある。エッセネ派も、自分たちのことを「この道の者」(the Way)と呼んでいた。(3)「諸会堂あての手紙」とは何か。中間時代、ローマとユダヤの間に条約が締結され、大祭司がローマ帝国内のユダヤ人共同体の上に権威を振うことが認められた。その中には、ユダヤから逃亡した者を連れ戻す権威も含まれていた。諸会堂あての手紙の内容は、次のようなものである。「サウロは大祭司の代理人である。彼は、『この道の者』を逮捕し、エルサレムに連れ戻そうとしている。各会堂は、サウロのミッションが成功するよう協力して欲しい」。パウロはパリサイ派であり、大祭司はサドカイ派である。両者が協力するのは珍しいことである。
創世記4927 にはベニヤミン族の性質が預言されている。「ベニヤミンはかみおおかみ。朝には獲物を食らい、夕には略奪したものを分ける」。サウロの中に、この預言の成就を見ることができる。しかし神は、サウロの激しい性質を神の国拡大のために用いられた。神の御手の中では、欠点さえもえきに変えられるのだ。

きょうの祈り

天の父なる神さま。あなたは、すべてのことを御国拡大のために用いることのできるお方です。欠点さえも益に変えてくださることを感謝します。主イエス・キリストの御名によって祈ります。アーメン。

年間聖書通読

ホセア書2~3、詩篇81~82