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使徒の働き9:1 ~ 2

1 さてサウロは、なおも主の弟子たちに対するおびやかしと殺害の意に燃えて、大祭司のところに行き、

2 ダマスコの諸会堂あての手紙を書いてくれるよう頼んだ。それは、この道の者であれば男でも女でも、見つけ次第縛り上げてエルサレムに引いて来るためであった。

サウロという人物

文脈の確認

使徒9 章は、ダマスコ途上での出来事の記録である。これは、サウロの人生の方向性を変え、さらに使徒の働きにおいて決定的に重要な出来事となった。その記録が3 度も繰り返される(使9:1 ~ 9 は最初の記録、使22:1 ~ 11 は暴徒たちに対するパウロの弁明、使26:1 ~ 23 はアグリッパ2 世に対するパウロの弁明)。サウロ(パウロ)は、ペテロが開始した異邦人伝道の継承者となる。

サウロの人物像

(1)使徒の働きの登場人物の中では、ペテロとサウロが双璧そうへきである。ともに強烈な個性を有し、弱点も持っていた。ともにイエス・キリストの使徒として任命を受け、聖霊によって建て上げられ、用いられた。サウロの身体的特徴は分からないが、「背が低く、がにまたで、頭は禿げていた」という伝承がある。
(2)家族の歴史。彼が誕生する以前に、祖父か父がタルソに移住した。タルソは、ローマの属州キリキヤ州の首都である。彼の祖父か父が、ローマの市民権を獲得したと思われる。これで、彼の一家がタルソの町の上流階級に属していたことが分かる。市民権を得る方法は、3 つあった。国か地方の公職に一定期間く。金で買う(パウロの一家の場合、この可能性が大である)。市民権を持つ主人から解放された奴隷が市民となる。サウロは、生まれながらのローマ市民であった。この特権は、伝道のために役立つことになる。
(3)名前。ヘブル名はサウロ(Saul)である。ベニヤミン族から出た初代のイスラエルの王サウルと同じ名前で、家族のほこり高い様子が読み取れる。ローマ名(ラテン名)はパウロ(Paulus)。
(4)言語と教育。ギリシア語で育ったと思われるが、家庭ではヘブル語かアラム語を話したのであろう。また、教育を受ける過程で、ラテン語も学んだはずである。父親はパリサイ人か、その派と親密な関係にあったかのいずれかであろう。パリサイ人になるための訓練は厳しい。5 歳でヘブル語聖書について正式な教育を受け始め、10 歳でラビ的ユダヤ教や口伝律法について学び始める(ガマリエルから学ぶためにエルサレムに上ったのは、この頃であろう。そこには、サウロの姉妹が住んでいた。使2316 参照)。サウロは、13 歳でバール・ミツバを迎えた。エルサレムでは、職業訓練も受けた(天幕職人)。
神は、サウロが救われる前から彼を異邦人のための使徒として用意しておられた。同じことが私たちに関しても言える。救われる前の自分の経験がどのように用いられるのか、黙想してみよう。

きょうの祈り

全知全能なる神よ。あなたは、私が救われる前から、私を整えてくださっていました。どうか、用いてください。主イエス・キリストの御名によって祈ります。アーメン。

年間聖書通読

エゼキエル書48、ホセア書1、コロサイ人への手紙2