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マルコの福音書14:10~11

10 ところで、イスカリオテ・ユダは、十二弟子のひとりであるが、イエスを売ろうとして祭司長たちのところへ出向いて行った。

11 彼らはこれを聞いて喜んで、金をやろうと約束した。そこでユダは、どうしたら、うまいぐあいにイエスを引き渡せるかと、ねらっていた。

ユダの裏切り

裏切りの理由

もしユダがイエスを売り渡さなかったら、イエスは十字架にかかっていなかったのでしょうか。そうではありません。ユダが裏切らなくても、イエスは何らかの方法で逮捕され、十字架につけられていました。そもそも十字架とは、イエスが自発的についてくださったものなのです。ですから、ユダは神から悲劇的な役回りを押しつけられたのではありません。問題は、彼自身の内にあったのです。
(1)ユダは有能で実務能力にたけていたのでしょう。そのため彼は、弟子集団の会計係を務めていました。ヨハネの福音書によれば、彼は共有の財布から着服していたようです(12:6)。(2)金銭に弱い彼の心に、サタンが入りました(ルカ22:3)。(3)ユダが祭司長たちへの内通者としての役割を果たすことによって、民衆の目につかないところでイエスを逮捕する道が開かれました。(4)ユダは銀貨30枚を手に入れました。シェケル貨30枚というのは、奴隷の代金です(出エジプト記2132)。ここには、痛烈な皮肉があります。イエスの命は奴隷と同じとみなされたのです。(5)その貨幣は、神殿の金庫から出されました。神殿の金庫の金は、本来は犠牲の動物を買うための金です。祭司長たちは無意識のうちに、十字架上で犠牲になる神の小羊を買い取っていたのです。

イエスの愛

「イエスは、なぜユダを選んだのか?」これは神秘です。ただ言えることは、ユダはそうなるように運命づけられていたのではないということです。イエスは、ユダをも愛し、彼に悔い改めの機会を何度も与えておられます。しかしユダは、悔い改めの機会を用いようとはせず、自分の意志でサタンに心を開き、イエスを売り渡しました。祭司長たちは民衆を恐れたため、過越の祭りが終わってからイエスを殺そうとしていました。しかし、イエスはそのような祭司長たちの謀略(これはサタンの策略でもある)をみごとに粉砕し、過越の祭りの間に十字架にかかられました。
地上生涯を送っている限り、私たちには悔い改めの機会が与えられています。神の愛と恵みを無駄にすることのないように、きょうという日を生かし、父なる神のもとに立ち返りましょう。

きょうの祈り

天の父なる神さま。イエス・キリストにあって私を救いに選んでくださり感謝します。どうか、あなたの恵みを無駄にすることのありませんように、私をお助けください。主イエス・キリストの御名によって祈ります。アーメン。

年間聖書通読

創世記17~18、マルコの福音書 7