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ローマ人への手紙16:1 〜 2

1 ケンクレヤにある教会の執事で、私たちの姉妹であるフィベを、あなたがたに推薦すいせんします。

2 どうぞ、聖徒にふさわしいしかたで、主にあってこの人を歓迎し、あなたがたの助けを必要とすることは、どんなことでも助けてあげてください。この人は、多くの人を助け、また私自身をも助けてくれた人です。

フィベ(1)

文脈の確認

今回から16章に入ります。先に進む前に、文脈を確認しておきます。ローマ15141627は、「結論」の部分に当たります。「執筆の目的」(151421)と「パウロの将来の計画」(152233)については、すでに取り上げました。きょうの箇所から知人たちへの挨拶が始まります。一見、無味乾燥むみかんそうに見えますが、パウロの人脈を知るうえで非常に重要な箇所です。私も、一連のメッセージを用意しながら、この箇所が持っているインパクトに驚かされました。

ケンクレヤにある教会の執事

「ケンクレヤにある教会の執事で、私たちの姉妹であるフィベを、あなたがたに推薦します」(1節)。(1)パウロはフィベをローマの信徒たちに推薦(紹介)していますが、それはフィベがこの手紙をローマに運ぶ人だからです。(2)「フィベ」という名は、神話によく登場する名ですので、彼女は異邦人です。(3)ある学者はこう言っています。「彼女は、キリスト教神学の未来のすべてを、コートの下に入れて運んだことになる」。確かにそのとおりで、彼女がこの書簡をローマに運んだことの中に、神のドラマを見ることができます。(4)ケンクレヤは、コリントの南東11キロのところに位置する港町で、コリントの東の港としての役割を果たしていました(アジア方面の交易のための港)。ちなみに、西の港はカイオンで、両港の間の距離は8キロしかありませんでした。(5)パウロは、第2回伝道旅行でここを訪れています(使1818)。(6)パウロは、コリント滞在中にこの手紙を書いていますので、ケンクレヤの教会の信頼できる友人にそれを託すことは、自然なことです。(7)「ケンクレヤにある教会の執事」とありますが、新共同訳は「ケンクレアイの教会の奉仕者」と訳しています。「執事」も「奉仕者」もともに「ディアコノス」という言葉の訳です。「執事」とした場合は、教会の中の役職を意味します。教会史のこの段階で、役職としての「執事」があったかどうかは疑問です。もし執事職がすでにあったとするなら、彼女は長老を援助するための奉仕をしていたことになります。「ディアコノス」が役職でない場合は、忠実に主に仕える人を指します。いずれにしても、パウロにはフィベという忠実な援助者がいたことになります。パウロもフィベも、ともにそれぞれの場で、それぞれの賜物を用いて主に仕えていたのです。このことを自分に適用してみましょう。

きょうの祈り

イエス・キリストの父なる神さま。すべてはあなたのご栄光のためです。どうか私をお用いください。主イエス・キリストの御名によって祈ります。アーメン。

年間聖書通読

サムエル記第一28~29、使徒の働き3