キリストにある誇り

使徒としての使命意識のゆえに手紙を書いたということを説明した後、パウロは自らの誇りについて説明します。「それで、神に仕えることに関して、私はキリスト・イエスにあって誇りを持っているのです」（17節）。（1）彼は、異邦人の使徒であることに誇りを持っています。しかし、これは個人的なプライドではありません。「キリスト･イエスにあって」というのがキーワードです（2コリ3：5参照）。
「私は、キリストが異邦人を従順にならせるため、この私を用いて成し遂げてくださったこと以外に、何かを話そうなどとはしません。キリストは、ことばと行いにより、また、しるしと不思議をなす力により、さらにまた、御霊の力によって、それを成し遂げてくださいました」（18〜19節a）。（1）「異邦人を従順にならせるため」とありますが、これは、異邦人が福音を聞き、信仰に導かれることを指しています。（2）パウロの成功は、内住のキリストの力によるものです。「ことばと行い」とは、パウロの「ことばと行い」です。「ことば」とは、パウロが語る福音のメッセージです。「行い」とは、福音伝達という行動です。以上のことから、神とパウロは同労者であることが分かります。（3）「しるしと不思議をなす力」とあります。「しるし」とは、超自然的現象のことですが、それは神学的意味を示す奇跡です。「不思議」もまた奇跡ですが、この場合は、結果としての驚きに強調点があります。以上の2つは、使徒職に付随ふずいした奇跡です。

エルサレムからイルリコまで

「その結果、私はエルサレムから始めて、ずっと回ってイルリコに至るまで、キリストの福音をくまなく伝えました」（19節b）。（1）パウロの伝道は、アンテオケ教会から始まりましたが、エルサレム教会の優位性を認めるために、「エルサレムから始めて」となっています。（2）「イルリコ」とは、ユーゴスラビア（2003年、「セルビア・モンテネグロ」という国名に変更）のことです。（3）パウロは、約2,400キロの距離を巡りながら伝道しました。パウロの戦略は、主要都市で伝道することでした。これは、距離的に見ても、大いなる成果です。
私たちもパウロのように、神の同労者として、聖霊の力によって奉仕をすれば、大いなる働きをすることができます。キリストにあって自らの使命を誇ろうではありませんか。