神による3つの放置

この箇所の大きな文脈は、「野蛮な異邦人の罪」ということです。すべての人には「知識の啓示」が与えられています（24〜25 節）。しかし人は、その啓示を受け入れることも、それに従うこともしませんでした（知識の拒否）（21〜 23節）。そのため人類は、「拒否の結果」を刈り取るようになりました。神は不信仰と罪への罰として、人類を3 つの「放置」の状態に置かれました。今回は、「放置その二」を学んでみます。

神による放置その二（26〜27節）

「こういうわけで、神は彼らを恥ずべき情欲に引き渡されました。すなわち、女は自然の用を不自然なものに代え、」（26節）とあります。（1）ここでは、放置という裁きがより深刻な段階に進んでいます。つまり、「汚れ」の段階から「恥ずべき情欲」の段階へと堕落したということです。（2）ここで上げられているのは、女性の同性愛（lesbianismレズビアニズム）です。同性愛は、神が人を男と女に創造したという意図から逸脱いつだつしたもので、重大な罪です。
「同じように、男も、女の自然な用を捨てて男どうしで情欲に燃え、男が男と恥ずべきことを行うようになり、こうしてその誤りに対する当然の報いを自分の身に受けているのです」（27節）。（1）男に関しても、「自然な用」が「恥ずべきこと」へと移行しています。これは、男性の同性愛（homosexualityホモセクシュアリティ）のことです。ローマ時代は、男性の友情が愛の最高形態と考えられていました。そして、多くの10代後半から20代前半の青年たちが同性愛にかかわっていました。前18 〜19年に、皇帝アウグストは同性愛禁止令を出しましたが、その理由は同性愛を不道徳と考えたのではなく、ローマ人の人口を増やすためでした。日本でも、戦国大名が小姓こしょうを男色なんしょくの対象とした例が数多く見られます。（2）同性愛の罪を犯す者は、当然の報いを受けています。罪には罪が増し加わるということです。そこに、神の裁きの結果があります。
同性愛に希望はありません。同性愛的資質が遺伝であるという証明はありません。いわゆる「性同一性障害」は、体と心が分離した状態です。その解決法は、性転換手術ではなく、心を体に調和させることです。つまり、解決法は、問題の本質を知り（真の神から離れているということ）、その罪を悔い改めることにあります。いかなる人にも救いの可能性は残されています。人の内に「神のかたち」が残っているからです（2：14 〜15 参照）。