使命意識

パウロは強烈な使命意識に生きた人です。「兄弟たち。ぜひ知っておいていただきたい。私はあなたがたの中でも、ほかの国の人々の中で得たと同じように、いくらかの実を得ようと思って、何度もあなたがたのところに行こうとしたのですが、今なお妨げられているのです」（13節）
（1）パウロはこの文を強調しています。「兄弟たちよ。このことを知らずにいてもらいたくない」（口語訳）。二重否定であるがゆえに、その内容がさらに強調されます。この表現法は、パウロ書簡に特徴的なものです（ロマ11：25、1コリ10：1、12：1、2コリ1：8、1テサ4：13 など参照）。（2）彼は、「何度もあなたがたのところに行こうとした」と言っています。それは、急に思い立ったことではなく、以前から心に決め、決意していたことなのです。（3）「今なお妨げられている」という部分は、挿入句です。訪問が延び延びになっているのは、パウロの責任ではありません。その理由として、サタンの妨害が考えられます。その例は1テサロニケ2：18にあります。「それで私たちは、あなたがたのところに行こうとしました。このパウロは一度ならず二度までも心を決めたのです。しかし、サタンが私たちを妨げました」。さらにパウロには優先すべき仕事がありました。当時彼は、異邦人教会からの献金をエルサレム教会に届けようとしていました。彼は自らの願望を使命に優先させるような人ではありませんでした。

異邦人の使徒

「私はあなたがたの中でも、ほかの国の人々の中で得たと同じように、いくらかの実を得ようと思って、」とあります。（1）パウロは異邦人の使徒として召されました（使9：15）。（2）パウロは異邦人世界で伝道してきました。「…私はエルサレムから始めて、ずっと回ってイルリコに至るまで、キリストの福音をくまなく伝えました。このように、私は、他人の土台の上に建てないように、キリストの御名がまだ語られていない所に福音を宣べ伝えることを切に求めたのです」（ロマ15：19 〜 20）。その結果、未伝の地はもはやイスパニヤしか残されていないというのです。その前に、ローマにおいても異邦人伝道の責任を果たしたいというのが彼の願いです。
私たちにも、同胞に福音を伝えるという使命が与えられています。聖霊によって私たちの内にある使命意識に火をつけていただき、パウロのような情熱を受けようではありませんか。