「神の義」にあずかった人々

今回は、パウロのあいさつ文の学びの11回目です。すでに見たように、2〜 6節はあいさつ文の中の「挿入句」に当たります。きょうは、「神の義」にあずかった人々について学んでみましょう。
「あなたがたも、それらの人々の中にあって、イエス・キリストによって召された人々です」（6節）とあります。（1）ローマの信者たちも、同じ福音を信じて救われました。彼らは、イエス・キリストによってこの世から呼び出された人々です。（2）ここで、パウロの三段論法に注目しましょう。①私は異邦人に対して使徒としての権威と責任を与えられた。②あなたがた（ローマの信徒たち）もまた、異邦人の中にあってイエス・キリストによって召された。③従って、私にはあなたがたを導く権威と責任がある。この論法によって、パウロはローマの信徒たちと心の絆きずなを結びました。
「ローマにいるすべての、神に愛されている人々、召された聖徒たちへ」（7節a）とあります。（1）「すべての」というのは、ユダヤ人信者も異邦人信者も、男も女も、富んだ者も貧しい者も、奴隷も自由人も、すべての人を含みます。（2）彼らは、「神に愛されている人々」です。彼らに愛する理由があるからではなく、神の性質のゆえに、彼らは愛されているのです。（3）彼らは、「召された聖徒たち」です。聖徒は「ハギオス」です。これは、欠陥けっかんがないという意味ではなく、選び分けられた、神のご用のために選ばれたという意味です。

恵みと平安

「私たちの父なる神と主イエス・キリストから恵みと平安があなたがたの上にありますように」（7節b）とあります。（1）これは、伝統的なユダヤ人のあいさつの形式です。また、パウロ書簡のあいさつの特徴でもあります。（2）「恵み」と「平安（シャローム）」という2つの言葉に注目しましょう。この中に、霊的・肉体的祝福がすべて詰まっています。「恵み」の作者は父なる神です。「平安（シャローム）」をもたらしたのは主イエス・キリストです。主イエス・キリストは、神と人の和解、ユダヤ人と異邦人の和解、そして、人と人の和解をもたらされました。
今、パウロからの祝福の言葉を受け取りましょう。「私たちの父なる神と主イエス・キリストから恵みと平安があなたがたの上にありますように」。そして、ロマ書の本論に入る心の準備をしましょう。