選び出されたという言葉の意味

ロマ書1：1 〜 7はパウロのあいさつ文で、きょうはその5回目の学びです。これまでに、「パウロ」という名前、「しもべ」という意味、「召された」という意味について学びました。今回は「選び分けられ」という意味について考えます。
（1）「選び分けられ」という言葉は「アフォリスメノス」（受動態、完了形）ですが、これは「アフォリゾウ」という動詞から出ています。パリサイ人（ファリサイオス）と同じ語源の言葉です。パウロはパリサイ人でしたが、主イエスとの出会いによって「霊的パリサイ人」となったのです。（2）パウロが選ばれた時期は、生まれる前からです（エレ1：5参照）。その選びが明確になったのは、ダマスコ途上での回心の時です。

福音について

「神の福音のために」とあります。「福音」は「ユーアンゲリオン」です。元々は戦争で勝利したという知らせのことです。（1）福音に関する預言が、旧約聖書の中にあります。①イザヤ52：7は、この「グッドニュース」を救いのこととしています。「良い知らせを伝える者の足は山々の上にあって、なんと美しいことよ。平和を告げ知らせ、幸いな良い知らせを伝え、救いを告げ知らせ、『あなたの神が王となる』とシオンに言う者の足は」。②イザヤ61：1 〜 2も同じです。「神である主の霊が、わたしの上にある。【主】はわたしに油をそそぎ、貧しい者に良い知らせを伝え、心の傷ついた者をいやすために、わたしを遣わされた。…」。この聖句は、ルカ4章でイエスが朗読されたものです（ただしイエスは、「われわれの神の復讐の日を告げ」という部分を省略されました）。
（2）新約聖書で福音に関する預言が成就しました。①バプテスマのヨハネの宣教は、神の国（メシア的王国）の到来が近いという宣言でした。イエスの宣教もまた、神の国の宣言でした。メシアが到来した、そのお方を受け入れるなら神の国は成就する、というのがその時の福音の内容です。しかし、ユダヤ人たちはメシアを拒否しました。②イエスの死と復活以降、福音の内容が変化しました。それは「恵みの福音」とでも呼ぶべきもので、パウロがロマ書の中で論じているのは、その福音です（その内容は次回学びます）。私たちもまた、パウロが説く福音を信じ、救われました。神の恵みによって一方的に救われたことを、神に感謝しようではありませんか。