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ローマ人への手紙1:1 〜 7

1 神の福音のために選び分けられ、使徒として召されたキリスト・イエスのしもべパウロ、

2 ─この福音は、神がその預言者たちを通して、聖書において前から約束されたもので、

3 御子に関することです。御子は、肉によればダビデの子孫として生まれ、

4 聖い御霊によれば、死者の中からの復活により、大能によって公に神の御子として示された方、私たちの主イエス・キリストです。

5 このキリストによって、私たちは恵みと使徒の務めを受けました。それは、御名のためにあらゆる国の人々の中に信仰の従順をもたらすためです。

6 あなたがたも、それらの人々の中にあって、イエス・キリストによって召された人々です、─このパウロから、

7 ローマにいるすべての、神に愛されている人々、召された聖徒たちへ。私たちの父なる神と主イエス・キリストから恵みと平安があなたがたの上にありますように。

イントロダクション(3)

何のために書いたか(執筆目的)。

ロマ書のイントロダクションの3回目です。これまでに著者パウロについて、宛先について、執筆時期について説明しました。今回は、3つの執筆目的について解説します。
(1)パウロ自身の神学をまとめるため。この頃のパウロは、地中海の東側の地区での宣教をほぼ終えていました。彼は、過去25年間程の自らの活動を振り返り、その神学をまとめる必要を感じていました。(2)スペイン伝道の支援を求めるため。パウロは次の宣教地をスペインと考えていました。これまでパウロの異邦人伝道を支えてきたのはシリアのアンテオケ教会でしたが、その教会はスペインからは遠すぎます。スペインでの伝道が始まったなら、その教会からの支援が不可欠となります。そこで彼は、自己紹介をする必要性を感じたのです。(3)ローマの教会の中にあるユダヤ人信者と異邦人信者の対立を解決するため。パウロは、パリサイ派の学びをしたラビでした。そういう意味では、ロマ書はユダヤ的文書として読まれる必要があります。

執筆目的に関する新しい視点

ローマ教会の中にあるユダヤ人信者と異邦人信者の対立について、もう少し考えてみましょう。(1)ローマの教会は、使徒2:10 で回心を体験したユダヤ人信者が、ローマに帰って伝道した結果誕生した教会でしょう。ユダヤ人信者中心の家の教会がいくつか誕生し、それがローマの教会となりました。(2)紀元49年、皇帝クラウデオがユダヤ人をローマから追放しました。その中には、ユダヤ人信者も含まれていました(使18:2)。パウロは、アクラとプリスキラに出会いますが(ロマ16:3 〜4)、彼らもまたローマから追放されたユダヤ人信者でした。(3)ユダヤ人信者がいなくなってからは、ローマの教会は異邦人信者中心の教会となりました。(4)その後、多くのユダヤ人信者がローマに帰還するようになりましたが、その時にはこの教会は異邦人信者中心の教会になっていました。パウロがこの手紙を執筆した当時は、ユダヤ人信者と異邦人信者が対立していたようです。それは、神学的対立(モーセの律法と福音の関係)、社会的対立でした。パウロはその問題に対して、解決策を提示しようとしたのです。
ユダヤ人信者と異邦人信者の関係は、きわめて現代的なテーマでもあります。そのことを覚え、ロマ書を新しい視点(実は古い視点でもある)から読むことを志しましょう。

きょうの祈り

イエス・キリストの父なる神さま。教会はユダヤ人と異邦人がひとりの人になったものです。異邦人信者として学ぶべきことがあるなら、教えてください。主イエス・キリストの御名によって祈ります。アーメン。

年間聖書通読

ホセア書6~7、コロサイ人への手紙2