全焼のいけにえと食事

「モーセのしゅうとイテロは、全焼のいけにえと神へのいけにえを持って来たので、アロンは、モーセのしゅうととともに神の前で食事をするために、イスラエルのすべての長老たちといっしょにやって来た」。（1）祭司であるイテロは、全焼のいけにえを捧げた。いけにえを捧げることは、モーセの律法が与えられる前の時代の自然な礼拝行為である。アロンは将来祭司になるが、ここでは受動的な存在である。（2）次に、神の前での食事が食された。これは、契約の食事である。異邦人の祭司であるイテロは、【主】への信仰を告白し、いけにえを【主】に捧げ、食事をともにすることによって、契約の民イスラエルの共同体の一員となった。この食事では、当然イテロもマナを食べたはずである。（3）聖書に出て来る契約の食事の典型は、新しい契約を結ぶ際の過越の食事（最後の晩餐）である。主イエスはその食事の席で、新しい契約を結ばれた。イエスをメシアと信じた人は、その契約にサインをしたのである。

異邦人の救いの型

イテロが【主】への信仰を告白したことを、多くの学者は、「異邦人の救いの型」（あるいは先駆け）と見ている。つまり、やがて異邦人もイスラエルの民と同じ救いに与ることの予兆と見るのである。（1）その成就は、エペソ3：6 に記されている。「その奥義とは、福音により、キリスト・イエスにあって、異邦人もまた共同の相続者となり、ともに一つのからだに連なり、ともに約束にあずかる者となるということです」。（2）さらに、イザヤ2：2 〜 3 は、メシア的王国において異邦人がどのような祝福に与るかを預言している。「終わりの日に、･･･すべての国々がそこに流れて来る。多くの民が来て言う。『さあ、【主】の山、ヤコブの神の家に上ろう。主はご自分の道を、私たちに教えてくださる。私たちはその小道を歩もう』。それは、シオンからみおしえが出、エルサレムから【主】のことばが出るからだ」。（3）イテロだけでなく、その子どもたちもまた、イスラエルの共同体の中で住むようになる。民数記10：29（レウエルの子ホバブ）、士師記1：16（ケニ人の子孫、つまりミデヤン人）、士師記4：11（ケニ人ヘベル）などの聖句がそれを教えている。
モーセはその存在を通して、また、【主】の栄光を現すことによって、義父イテロとその一家に真の神を伝えた。私たちの身にも、これと同じことが起こるように祈ろう。