言い訳（その2）：自分には知識が足りない

自分には資格がないという問題は解決したが、モーセには新たな疑問がわいて来た。「今、私はイスラエル人のところに行きます。私が彼らに『あなたがたの父祖の神が、私をあなたがたのもとに遣わされました』と言えば、彼らは、『その名は何ですか』と私に聞くでしょう。私は、何と答えたらよいのでしょうか」モーセが想定しているイスラエルの民から来る質問は、以下の3 つである。（1）「お前はどのような権威によって派遣されたのか」。出エジプト2：14 でイスラエル人は、「誰がお前をわれわれの監督や裁判官にしたのか」と質問したが、モーセは答えることが出来なかった。（2）「神は、今度はどういう御名で働かれるのか」。イスラエルの民には、神は働きの段階に応じて新しい御名を啓示されるという認識があった。それで、「その名は何ですか」という質問になるのである。（3）「お前は、神の力を引き出すまじないの言葉（マジックワード）を知っているか」。これは、古代中近東の一般的な認識である。神の力を引き出すには、まじないの言葉が必要である。

神の回答

（1）神は、「わたしは、『わたしはある』という者である」と言われた。これは、神の本質を啓示する御名である。このお方は、①自立自存の神、②自足している神、③すべてを包含ほうがんしている神、④いかなる限界もない神、である。「あなたはイスラエル人にこう告げなければならない。『わたしはあるという方が、私をあなたがたのところに遣わされた』と」
エジプトで起こることの予告が語られた。（1）イスラエルの民は、モーセの声に聞き従うだろう。（2）長老たちといっしょにパロのところに行け。そして、ヘブル人の神、【主】からのことばをパロに告げよ。「荒野へ三日の道のりの旅をさせ、私たちの神、【主】にいけにえをささげさせてください」と。これは最低限のリクエストである。もしこれに応じないなら、何を提案しても無駄むだである。（3）パロは心を頑かたくなにするだろう。ここには、神の主権と人間の責任の相関関係がある。（4）神がすべての清算を行うであろう。神は、あらゆる不思議でエジプトを打ち、未払い賃金の回収を実行される（これは創15：14 の成就である）。イスラエルの民がエジプトから受け取った財産は、幕屋建設のために必要となる。
私たちの神は大いなるお方、「わたしはある」というお方である。その神を見上げて、新しい力をいただこうではないか。