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マタイの福音書27:1 ~ 2

1 さて、夜が明けると、祭司長、民の長老たち全員は、イエスを死刑にするために協議した。

2 それから、イエスをしばって連れ出し、総督そうとくピラトに引き渡した。

夜明け前の裁判

夜が明けてからの裁判

ここまでの宗教裁判の過程を確認しておく。(1)イエスは、まずアンナスから予備審問を受けた。(2)次に大祭司カヤパの官邸で、サンヘドリンによる宗教裁判を受けた。その結果、冒涜罪で死刑に値することが決められた。ユダヤの律法によれば、朝の犠牲がささげられる前に裁判を行うのは違法な行為であったが、議員たちは構わずにそれを実行した。(3)夜が明けると、再びサンヘドリンによる裁判が開かれた。これは、イエスを裁く裁判に形式的な合法性を与えるためのものであった。(4)この裁判の様子は、ルカ22:66 ~71 に記されている。サンヘドリンの議員たちは、「あなたがキリストなら、そうだと言いなさい」と追求している。彼らはすでに「冒涜罪で死刑」という判決を出していたが、この質問は、それを確認するためのものであった。(5)イエスは、「あなたがたの言うとおり、わたしはそれ(神の子)です」と言われた。これで、イエスが冒涜罪を犯しているとの確認がなされた。

総督ピラトのもとへ

この当時、ユダヤ人たちには死刑を執行する権利が与えられていなかった。つまり、いくら宗教裁判で有罪を宣告しても、ローマの法廷で死刑判決が出ない限り、イエスを死刑に処することはできないということである。ところが、ローマ法に基づけば、冒涜罪では死刑を宣告することができないのである。そこでユダヤ人の指導者たちは、冒涜罪ではなく、反逆罪を訴因そいんにして、イエスをローマ総督ピラトに引き渡すことにした。宗教裁判では、ユダの証言は不要であったが、政治裁判では、彼が証人として出廷する必要があった。ところが、困った事が起こった。証人になる予定のユダが、宗教裁判と政治的裁判の間に自殺をしたのである(次回、詳細に学ぶ)。
イエスが弟子たちと過越の食事(最後の晩餐ばんさん)を食した木曜の夜から、十字架につけられる金曜の朝までのわずか半日の間に、実にさまざまなことが急テンポで起こった。これは、ユダヤ人の指導者たちもイスカリオテのユダも、全く予想しなかったことである。人は立ち騒ぎ、自らの思いを成し遂げようとする。しかし、神の計画だけが静かに、しかし確実に、進行する。神の計画は、石臼いしうすこなをひくように、神の敵を粉砕ふんさいしていく。このことは、神を恐れる者にとっては良き知らせである。私たちは、神とともに歩んでいるだろうか。神の計画と調和した歩みをこころざそうではないか。

きょうの祈り

天の父なる神さま。私たちは真理に逆らっては何一つすることができません。きょうも、あなたの御心に従って歩むことができますように。主イエス・キリストの御名によって祈ります。アーメン。

年間聖書通読

創世記 1~2、詩篇 1~2