13 イエスはこのことを聞かれると、舟でそこを去り、自分だけで寂しい所に行かれた。すると、群衆がそれと聞いて、町々から、歩いてイエスのあとを追った。
14 イエスは舟から上がると、多くの群衆を見、彼らを深くあわれんで、彼らの病気をいやされた。
15 夕方になったので、弟子たちはイエスのところに来て言った。「ここは寂しい所ですし、時刻ももう回っています。ですから群衆を解散させてください。そして村に行ってめいめいで食物を買うようにさせてください。」
16 しかし、イエスは言われた。「彼らが出かけて行く必要はありません。あなたがたで、あの人たちに何か食べる物を上げなさい。」
17 しかし、弟子たちはイエスに言った。「ここには、パンが五つと魚が二匹よりほかありません。」
18 すると、イエスは言われた。「それを、ここに持って来なさい。」
19 そしてイエスは、群衆に命じて草の上にすわらせ、五つのパンと二匹の魚を取り、天を見上げて、それらを祝福し、パンを裂いてそれを弟子たちに与えられたので、弟子たちは群衆に配った。
20 人々はみな、食べて満腹した。そして、パン切れの余りを取り集めると、十二のかごにいっぱいあった。
21 食べた者は、女と子どもを除いて、男五千人ほどであった。
バプテスマのヨハネの死を境に、イエスは12 弟子の訓練に集中し始める。パンと魚の奇跡は、弟子訓練のために行われるものである。この奇跡は、四福音書すべてに記録されている唯一の奇跡である。(1)ヨハネの福音書では、この奇跡は、7つのしるしの第4 番目のものとなっている。(2)この奇跡は、公生涯が始まってから3 度目の過越の祭り時期に行われたものである。(3)この奇跡からちょうど1年後の過越の祭りの日に、イエスはエルサレムで十字架刑に処せられることになる。舟で立ち去るイエスと弟子たちの後を、群衆が陸伝いに追いかけて来た。ユダヤ人の指導者たちはすでにイエスを拒否していたが、群衆は依然としてイエスに興味を抱いていた。彼らは、イエスが行うしるしを見たので、興味を持ったのである。つまり、物質的恩恵を受けようとしてイエスの後を追ったのである。それでもイエスは、彼らを深くあわれみ、良き羊飼いとしての役割を果たされた。彼らの病気を癒し、霊的真理を教え、彼らの空腹を満たされた。その結果、男だけで5,000 人、女と子どもを含めると、その数倍の人々が、食べて満腹した。
この奇跡の主な目的は、12 弟子の訓練であった。この時点でのイエスの関心事は、「使徒の働き」の時代に備えて弟子たちを整えることにあった。この奇跡によって、弟子たちは少なくとも次の3 つの教訓を学ぶことができた。(1)弟子たちには、牧者として人々を養う責任がある。イエスは、「あなたがたで、あの人たちに何か食べる物を上げなさい」と言われた。これは、食物を与えるという責任であるが、イエスの復活以降、霊的な食物を与えることが彼らの責任となる。(2)自力では、この責務を全うするのは不可能である。人間の計算では、これほどの群衆にパンを与えることは不可能であった。(3)弟子の使命は、メシアが下さる良きものを人々に配給することである。物質的な食物だけでなく、霊的な食物の配給に関しても同じことが言える。
人々は食べて満腹し、余りを集めると12 のかごに一杯になった。すばらしい奇跡が起こったのである。私たちも、自分に与えられた使命で押しつぶされそうになることがある。自力でその使命を全うするのは不可能である。まず、主イエスからのメッセージを受け取ることを学ぼう。次に、それを人々に届けることを実行しよう。人々が霊的食物に満たされている姿を見るのは、イエスの弟子にとって最高の喜びである。
きょうの祈り
イエス・キリストの父なる神さま。どうか私に、天来のメッセージを日々与えてください。私のデボーションを祝福してください。主イエス・キリストの御名によって祈ります。アーメン。
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