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マタイの福音書13:53 ~ 58

53 これらのたとえを話し終えると、イエスはそこを去られた。

54 それから、ご自分の郷里に行って、会堂で人々を教え始められた。すると、彼らは驚いて言った。「この人は、こんな知恵と不思議な力をどこで得たのでしょう。

55 この人は大工の息子ではありませんか。彼の母親はマリヤで、彼の兄弟は、ヤコブ、ヨセフ、シモン、ユダではありませんか。

56 妹たちもみな私たちといっしょにいるではありませんか。とすると、いったいこの人は、これらのものをどこから得たのでしょう。」

57 こうして、彼らはイエスにつまずいた。しかし、イエスは彼らに言われた。「預言者が尊敬されないのは、自分の郷里、家族の間だけです。」

58 そして、イエスは、彼らの不信仰のゆえに、そこでは多くの奇蹟きせきをなさらなかった。

ナザレ訪問

故郷伝道

ルカ4 章によれば、イエスは公生涯の最初にナザレを訪問し、故郷伝道を行われた(ルカ4:16 ~31)。きょうの箇所は、公生涯における最後のナザレ訪問の記録である。(1)ナザレは、イスラエル全体の霊的状態を示すバロメーターである。つまり、ナザレで起こったことは、イスラエル全体でも起こるということだ。(2)きょうの箇所で、ナザレの人々は、イエスがメシアであることを最終的に拒否した。それと同じことが、全イスラエルでも起こるのである。(3)ナザレの人々は、イエスの知恵と不思議な力に驚いたが、その知恵と力が天の父から与えられたものであることは、理解できなかった(マタ11:27 参照)。イエスは父なる神との交わりを通して、超自然的な力を得ておられた。(4)ナザレの住民たちは、イエスの母親や兄弟姉妹たちが身近な存在であるだけに、イエスをメシアだとは思えなかったのである。(5)イエスは、ナザレの人々が不信仰であったために、そこでは多くの奇跡を行わなかった。

イエスの家族たち

この時点では、イエスの家族でさえ、イエスをメシアとは信じていなかった。家族構成を確認しておこう。(1)イエスには、4 人の弟たちがいた。ヤコブ、ヨセフ、シモン、ユダがそれである。(2)イエスには妹もいた(名前は不明)。「妹たち」(56節)という言葉は複数形なので、イエスには少なくとも2 人の妹がいたことになる。(3)以上のことから、マリヤはイエスを産んだ後、夫ヨセフとの間に少なくとも6人の子をもうけたことが分かる。その後、ヨセフは早死にしたと思われる。
イエスの家族については、弟のヤコブ以外はその後どうなったのか、情報がない。ヤコブは、後にエルサレム教会の指導者となる(ガラ1:19、2:9)。また、エルサレム会議では、異邦人伝道に関して最終的な判断を下すようになる(使15 章)。さらに、ヤコブの手紙を書き、自分のことを「神と主イエス・キリストのしもべヤコブ」と紹介するようになる。彼は、「主イエスの肉の弟ヤコブ」と書くこともできたのであるが、そうはしなかった。彼が強調したのは、メシアであるイエスを通した父なる神との霊的関係であった。
肉のほこりは、なんの祝福ももたらさない。イエスの弟ヤコブが、メシアを信じる信仰によって神に近づいたように、私たちも主イエスを通して父なる神に近づこうではないか。救いは、血筋や人間の努力によってではなく、信仰と恵みによって与えられるものである。

きょうの祈り

天の父なる神さま。私は、肉の誇りや、自らの行いによって救われたのではありません。今心から、「イエスは主なり」と告白します。主イエス・キリストの御名によって祈ります。アーメン。

年間聖書通読

ヨブ記10〜12、テトスへの手紙2