1 イエスが、ヘロデ王の時代に、ユダヤのベツレヘムでお生まれになったとき、見よ、東方の博士たちがエルサレムにやって来て、こう言った。
2 「ユダヤ人の王としてお生まれになった方はどこにおいでになりますか。私たちは、東のほうでその方の星を見たので、拝みにまいりました。」
3 それを聞いて、ヘロデ王は恐れ惑った。エルサレム中の人も王と同様であった。
東方から天文学者たちがやって来た。彼らを迎えたヘロデ王は恐れ惑い、エルサレム中の人たちも同様であったと書かれているので、東方からの訪問者たちは相当な人数であったに違いない。(1)彼らは、バビロンの天文学者たちである。当時は、占星術と天文学は未分化の状態にあった。(2)彼らをエルサレムまで導いたのは、超自然的な星であった。この星は、最初は東から西に、次は北(エルサレム)から南(ベツレヘム)に移動し、最後は幼子イエスがいた家の上にとどまった。この星は、シャカイナ・グローリー(神の栄光の光)である。
彼らは、どのようにしてメシア誕生のことを知ったのであろうか。2 つの方法が考えられる。(1)一つは、捕囚民としてバビロンに住んだダニエルの影響である。彼は、バビロンにおいて占星術師たちの筆頭の位に着いた。と言っても、彼自身が占星術を行ったわけではない。占星術はモーセの律法によって禁止されていた。ダニエルの場合は、イスラエルの神から直接啓示を受けていたので、どのような占星術師よりも賢明な判断を下すことができたのである。彼は、バビロンの地にあってメシアの誕生を預言した(ダニ9:24 ~27 参照)。この預言がユニークな理由は、メシア誕生のタイムテーブルを提供していることである。(2)もう一つは、民数記に登場する異教の預言者バラムの影響である。彼は、バビロンの占星術師である。彼は、イスラエルを祝福する預言の中で、「ヤコブから一つの星が上り」という言葉を使って、メシアの来臨を預言した(民24:17 参照)。この預言がユニークな理由は、メシアの誕生と星とを結びつけている点である。
東方の博士たちは、メシアがユダヤ人の王として生まれるとしたら当然エルサレムであろうと判断し、そこにやって来た。ベツレヘムに直接向かわなかったのは、ミカ5:2 の預言を知らなかったからである。ヘロデ王は、猜疑心の強い男だったので、ユダヤ人の王誕生の知らせを聞いて恐れた。エルサレム中の人も王と同様であった。メシアの誕生を喜ぶはずのイスラエル人たち(ヘロデはエドム人)が恐れ惑い、遠くにいた異邦人たちがメシアを礼拝するために長距離を旅して来た。今でも、良い環境に置かれた人が良い信仰者になるわけではない。逆境の中でこそ信仰が育つ人もいる。東方の博士たちの信仰から学ぼうではないか。メシアであるイエスを拝することほど価値あるものはない。
きょうの祈り
天の父よ。主イエスを礼拝できる特権を感謝します。それは、あらゆる犠牲を払うほどの価値があることです。主イエス・キリストの御名によって祈ります。アーメン。
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