実を結ぶ若枝

ヨセフ族に関しては、次のような預言がなされた。「ヨセフは実を結ぶ若枝、泉のほとりの実を結ぶ若枝、その枝は垣を越える」。「実を結ぶ若枝」は、繁栄はんえいを意味する言葉である。雨に頼たよらなくても、泉の水があるので、その枝は果樹園の垣を越えて広がるようになる。この預言どおりに、ヨセフ族の人口はユダ族よりも多くなる（民1 章と26 章を比較）。
ヨセフの過去については、こう書かれている。（1）「弓を射る者は彼を激しく攻め、彼を射て、悩ました」。ヨセフは兄たちから責せめられ、ポティファルの妻から憎まれ、パロの宮廷きゅうていの魔術師まじゅつしや官吏かんりから妬ねたまれた。また、サタンからの攻撃を受けた。（2）「しかし、彼の弓はたるむことなく、彼の腕はすばやい」。彼は、敵の武器に対抗する武器を持っていた。それは、信仰、誠実、正義、愛という武器である。（3）「これはヤコブの全能者の手により、それはイスラエルの岩なる牧者による」。しかし、ヨセフに勝利を与えたのは神である。「ヤコブの全能者」とは、信者を守り、その必要を満たす神を示している。「牧者」とは、ヤコブの神からメシアが出現することを示している（ゼカ11 章、ヨハ10 章参照）。「イスラエルの岩」とは、メシアを示している。
ヨセフの将来については、こう預言されている。「その祝福は上よりの天の祝福、下に横たわる大いなる水の祝福、乳房と胎の祝福」。（1）「上よりの天の祝福」とは、彼らの土地に降る露つゆのことである。（2）「大いなる水の祝福」とは、泉から湧わく水のことである。雨に頼らなくても、農業を営いとなむことが出来るというのである。（3）「乳房と胎の祝福」とは、子孫の数が増えるという祝福である。ヨセフから2 つの部族（エフライムとマナセ）が生まれ、12 部族の中で最大の人数を擁ようするようになる。（4）ヤコブがヨセフに与えた祝福は、アブラハムやイサクがその子たちに与えた祝福よりも大きなものである。ヨセフは長子の権利を受けた。（5）ヨセフは、兄弟たちの中から選び出された者だが、その選びについて嫉妬しっとし、ヨセフと対立する兄弟は一人もいなかった。エジプトに奴隷として売られたこと、エジプトで宰相さいしょうとなったこと、カナンの地から家族をエジプトに呼ぶ準備をしたことなどが、彼の選びの内容である。彼はその選びに伴う使命を忠実に果たした。
クリスチャンも、神によってこの世から選び出された者である。その選びに伴う使命とはなんなのか、そのことについて黙想してみよう。