5 あるとき、ヨセフは夢を見て、それを兄たちに告げた。すると彼らは、ますます彼を憎むようになった。
6 ヨセフは彼らに言った。「どうか私の見たこの夢を聞いてください。
7 見ると、私たちは畑で束をたばねていました。すると突然、私の束が立ち上がり、しかもまっすぐに立っているのです。見ると、あなたがたの束が回りに来て、私の束におじぎをしました。」
8 兄たちは彼に言った。「おまえは私たちを治める王になろうとするのか。私たちを支配しようとでも言うのか。」こうして彼らは、夢のことや、ことばのことで、彼をますます憎むようになった。
9 ヨセフはまた、ほかの夢を見て、それを兄たちに話した。彼は、「また、私は夢を見ましたよ。見ると、太陽と月と十一の星が私を伏し拝んでいるのです」と言った。
10 ヨセフが父や兄たちに話したとき、父は彼をしかって言った。「おまえの見た夢は、いったい何なのだ。私や、おまえの母上、兄さんたちが、おまえのところに進み出て、地に伏しておまえを拝むとでも言うのか。」
11 兄たちは彼をねたんだが、父はこのことを心に留めていた。
ヨセフは、2 つの夢を見た。そしてそれを、そのまま家族に告げた。この時点でのヨセフは、「鳩のようにすなお」ではあっても、「蛇のようにさとく」という性質が欠けていた(マタ10:16 参照)。彼は、人を疑うことを知らなかった。エジプトに売られて以降は、「蛇のようにさとく」という性質が身についてくる。
最初の夢は、「彼の麦の束がまっすぐに立ち上がり、兄たちの麦の束が、その回りに来ておじぎをした」というものであった。兄たちには、その意味はすぐに分かった。彼らはヨセフに、「おまえは私たちを治める王になろうとするのか。私たちを支配しようとでも言うのか」と言った。ヨセフに悪意はない。ただ判断が幼いだけである。この夢の結果、兄たちはますますヨセフを憎むようになった。
次の夢は、「太陽と月と11 の星がヨセフを伏し拝んでいる」というものであった。父ヤコブは、こう言った。「おまえの見た夢は、いったい何なのだ。私や、おまえの母上、兄さんたちが、おまえのところに進み出て、地に伏しておまえを拝むとでも言うのか」。太陽は父、月は母(ビルハ)、11 の星は11 人の兄弟たちのことである。ヤコブがヨセフを叱責した理由は、兄たちの怒りを静めるためである。と同時に、ヤコブはこのことを心に留めていた。これは、ルカ2:51でのマリヤの状態と同じである。「それからイエスは、いっしょに下って行かれ、ナザレに帰って、両親に仕えられた。母はこれらのことをみな、心に留めておいた」
この時点で、神がヨセフに2 つの夢を見させた理由は何か。(1)アブラハム、イサク、ヤコブは、神からの直接的な語りかけを受けた。(2)ヨセフの場合は、直接的な語りかけではなく、2 つの夢が与えられた。2 つの夢は、幾多の困難に立ち向かおうとしているヨセフへの励ましである。これは、主イエスが十字架を忍ぶことができた理由と同じである。「・・・イエスは、ご自分の前に置かれた喜びのゆえに、はずかしめをものともせずに十字架を忍び、神の御座の右に着座されました」(ヘブ12:2)
私たちには、神から与えられた夢や幻があるだろうか。今、自分の人生を導いている究極的な力と動機がなんであるかを吟味してみよう。日々のデボーションによって、自分がどこから来て、どこへ行こうとしているかを確認する人は幸いである。
きょうの祈り
天の父なる神さま。私には夢があります。それは、キリストに似た者として完成させられることです。その目的のために、地上生涯を歩めますことを感謝します。主イエス・キリストの御名によって祈ります。アーメン。
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