37 ヤコブは、ポプラや、アーモンドや、すずかけの木の若枝を取り、それの白い筋の皮をはいで、その若枝の白いところをむき出しにし、
38 その皮をはいだ枝を、群れが水を飲みに来る水ため、すなわち水ぶねの中に、群れに差し向かいに置いた。それで群れは水を飲みに来るときに、さかりがついた。
39 こうして、群れは枝の前でさかりがついて、しま毛のもの、ぶち毛のもの、まだら毛のものを産んだ。
40 ヤコブは羊を分けておき、その群れを、ラバンの群れのしま毛のものと、真っ黒いものとに向けておいた。こうして彼は自分自身のために、自分だけの群れをつくって、ラバンの群れといっしょにしなかった。
41 そのうえ、強いものの群れがさかりがついたときには、いつもヤコブは群れの目の前に向けて、枝を水ぶねの中に置き、枝のところでつがわせた。
42 しかし、群れが弱いときにはそれを置かなかった。こうして弱いのはラバンのものとなり、強いのはヤコブのものとなった。
43 それで、この人は大いに富み、多くの群れと、男女の奴隷、およびらくだと、ろばとを持つようになった。
ラバンに欺かれたことを知ったヤコブは、自分の手で家畜を殖やす努力を始める。これは、知恵による反撃である。彼は、3 つの策を考え、実行に移した。
(1)第1 の策。彼は、家畜にさかりがつく場所で、奇妙なことを行った。「・・・ポプラや、アーモンドや、すずかけの木の若枝を取り、それの白い筋の皮をはいで、その若枝の白いところをむき出しにし、その皮をはいだ枝を、群れが水を飲みに来る水ため、すなわち水ぶねの中に、群れに差し向かいに置いた」。その結果、不思議なことが起こった。「こうして、群れは枝の前でさかりがついて、しま毛のもの、ぶち毛のもの、まだら毛のものを産んだ」。つまり、親の毛色とは異なった子どもが誕生したということである。異なった毛色の個体は、ヤコブのものとなる。
(2)第2 の策。彼は、自分の群れとラバンの群れを分けた。そして、水を飲む際に、ラバンの群れの普通のものを、ラバンの群れのしま毛のものと、真っ黒いものとに向けておいた。つまり、両者を対面させたのである。その結果、普通の群れは、「しま毛のもの、ぶち毛のもの、まだら毛のもの」を産んだ。これもまた、契約ではヤコブのものとなる。
(3)第3 の策。さらにヤコブは、強いものの群れにさかりがついた時には、木の枝を水ぶねの中に置いた。しかし、弱いものの群れの場合は、そうしなかった。その結果、強い群れから、「しま毛のもの、ぶち毛のもの、まだら毛のもの」が誕生した。こうして、ヤコブの群れは強くなり、ラバンの群れは弱くなった。
「それで、この人は大いに富み、多くの群れと、男女の奴隷、およびらくだと、ろばとを持つようになった」。つまり、7 年の間に、ヤコブは急速に裕福になったのである。(1)ヤコブが用いた手法は、当時の迷信である。当時は、さかりの時(子を宿した時)に視覚に刺激を与えると、胎児に影響が現れると考えられていた。ヤコブはその迷信を信じて、一生懸命それを行ったのである。(2)しかし、迷信によっては「しま毛のもの、ぶち毛のもの、まだら毛のもの」が誕生することはない。ヤコブは、自分の手で家畜を殖やしているつもりでいたが、実際は、神がそれをしておられたのである。
ヤコブに正当な賃金を支払ったのは、ラバンではなく、神である。神が公平なお方であることを覚え、心に平安をいただこうではないか。私たちの人生には、正当な精算の時が必ず訪れる。神を恐れて歩む人は、知恵ある人である。
きょうの祈り
アブラハム、イサク、ヤコブの神よ。ヤコブを正当に扱われたあなたは、私をも正当に扱ってくださいます。摂理の御手が働いていることを感謝します。主イエス・キリストの御名によって祈ります。アーメン。
年間聖書通読
士師記3~4、ルカの福音書11
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