3 それからアブラハムは、その死者のそばから立ち上がり、ヘテ人たちに告げて言った。
4 「 私はあなたがたの中に居留している異国人ですが、あなたがたのところで私有の墓地を私に譲っていただきたい。そうすれば私のところから移して、死んだ者を葬ることができるのです。」
5 ヘテ人たちはアブラハムに答えて言った。
6 「 ご主人。私たちの言うことを聞き入れてください。あなたは私たちの間にあって、神のつかさです。私たちの最上の墓地に、なくなられた方を葬ってください。私たちの中で、だれひとり、なくなられた方を葬る墓地を拒む者はおりません。」
7 そこでアブラハムは立って、その土地の人々、ヘテ人にていねいにおじぎをして、
8 彼らに告げて言った。「死んだ者を私のところから移して葬ることが、あなたがたのおこころであれば、私の言うことを聞いて、ツォハルの子エフロンに交渉して、
9 彼の畑地の端にある彼の所有のマクペラのほら穴を私に譲ってくれるようにしてください。彼があなたがたの間でその畑地に十分な価をつけて、私に私有の墓地として譲ってくれるようにしてください。」
アブラハムは墓地を購入するために、土地の住民であるヘテ人たちと交渉した。(1)「私はあなたがたの中に居留している異国人です」。この時のアブラハムは、「約束の地」に住みながら、妻を葬る地もないような状態であった。まさに、寄留者そのものである。(2)「あなたがたのところで私有の墓地を私に譲っていただきたい」。その目的は、「死んだ者を葬ることができるのです」というものである。
ヘテ人たちの答えを見てみよう。(1)「あなたは私たちの間にあって、神のつかさです」。彼らは、アブラハムの存在が大きいことを認めた。アブラハムには、すでに大いなる名が与えられていた。これは、アブラハム契約の祝福の条項と合致する。(2)「私たちの最上の墓地に、なくなられた方を葬ってください」。つまり、好きな墓地を選んで、埋葬を行ってもいいという意味である。(3)「私たちの中で、だれひとり、なくなられた方を葬る墓地を拒む者はおりません」。この言葉は、墓地を所有することを彼らが認めたことを示している。
ここまでの会話は、あくまでも交渉の第一段階である。(1)「アブラハムは立って、その土地の人々、ヘテ人にていねいにおじぎをして」とある。アブラハムは、中近東の交渉の習慣に従って、時間をかけて交渉を進めようとする。(2)「死んだ者を私のところから移して葬ることが、あなたがたのおこころであれば」。彼は、非常に謙遜で丁寧な態度を示している。(3)「私の言うことを聞いて、ツォハルの子エフロンに交渉して、彼の畑地の端にある彼の所有のマクペラのほら穴を私に譲ってくれるようにしてください」。アブラハムは彼らに、契約の証人になってくれるように依頼したのである。(4)「彼があなたがたの間でその畑地に十分な価をつけて、私に私有の墓地として譲ってくれるようにしてください」。これは、最高の額を払う用意があるという意思表明である。
偶像礼拝に満ちた国で生活する私たちクリスチャンは、この箇所でのアブラハムの対応から教訓を学ぶことができる。彼は、カナン人(ヘテ人)の偶像礼拝に参加することはなかったが、信仰的に中立な社会的・法律的な習慣には従った。これが、寄留者としてのアブラハムの知恵である。天に国籍を持ちながら、地上で生活をしている私たちにも、アブラハムのような知恵が必要である。主からの知恵によって最善の判断ができるように祈ろうではないか。
きょうの祈り
アブラハム、イサク、ヤコブの神よ。アブラハムの知恵から教訓を学ばせてください。不信者にも納得してもらえるような生き方ができますように。主イエス・キリストの御名によって祈ります。アーメン。
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