3 ところが、神は、夜、夢の中で、アビメレクのところに来られ、そして仰せられた。「あなたが召し入れた女のために、あなたは死ななければならない。あの女は夫のある身である。」
4 アビメレクはまだ、彼女に近づいていなかったので、こう言った。「主よ。あなたは正しい国民をも殺されるのですか。
5 彼は私に、『これは私の妹だ』と言ったではありませんか。そして、彼女自身も『これは私の兄だ』と言ったのです。私は正しい心と汚れない手で、このことをしたのです。」
6 神は夢の中で、彼に仰せられた。「そうだ。あなたが正しい心でこの事をしたのを、わたし自身よく知っていた。それでわたしも、あなたがわたしに罪を犯さないようにしたのだ。それゆえ、わたしは、あなたが彼女に触れることを許さなかったのだ。
7 今、あの人の妻を返していのちを得なさい。あの人は預言者であって、あなたのために祈ってくれよう。しかし、あなたが返さなければ、あなたも、あなたに属するすべての者も、必ず死ぬことをわきまえなさい。」
創世記には、夢で神からの語りかけを受ける異教徒が5 人出てくる。・アビメレク、・ラバン(31:24)、・献酌官、・調理官(40:5)、そして、・パロ(41:1)。ユダヤ人の場合と違うのは、その全員が神から警告のことばを受けていることである。
神はアビメレクに警告された。「あなたが召し入れた女のために、あなたは死ななければならない。あの女は夫のある身である」。(1)アビメレクは、アブラハムが嘘を語っていることを知らずに、サラを召し入れた。(2)アビメレクに罪はないが、それでも彼が呪を受けることになる。その理由は、アブラハム契約が無条件契約であるからだ。ここでは、アブラハム契約の「祝福と呪いの条項」が働いている。つまり、アブラハムを祝福する者は祝福を受け、アブラハムを呪う者は呪いを受けるということだ。
(1)「アビメレクはまだ、彼女に近づいていなかった」。彼がサラを召し入れてからどれくらいの時間が経過していたかは不明であるが、サラとの肉体関係はまだなかった。(2)アビメレクは、「主よ。あなたは正しい国民をも殺されるのですか」と問いかけた。彼は、都市国家ゲラル全体の滅びを心配しているのである。(3)アビメレクは、自分の無実を主張した。「彼は私に、『これは私の妹だ』と言ったではありませんか。そして、彼女自身も『これは私の兄だ』と言ったのです。…」。(4)神はそれを認め、アビメレクがサラに触れなかったのは、神が彼に罪を犯させないためであったことを知らせた。(5)「今、あの人の妻を返していのちを得なさい。あの人は預言者であって、あなたのために祈ってくれよう」。「預言者」(ナビ)という言葉が初めて出て来る。アブラハムは神からの啓示を受けていたので、預言者である。アビメレクがこの指示に従えば、彼には祝福が与えられる。(6)「しかし、あなたが返さなければ、あなたも、あなたに属するすべての者も、必ず死ぬことをわきまえなさい」。もし従わないなら、裁きがアビメレクの家族全部にやってくる。
罪を犯したアブラハムが正しかったアビメレクのために祈るのは、不思議な感じがする。しかし、これがアブラハム契約の特質である。神がアブラハムと結ばれた契約は、永遠に破棄されることがない。イエス・キリストにあって結ばれた新しい契約もまた無条件契約である。私たちは、その契約のゆえに安心して神に従うことができる。
きょうの祈り
アブラハム、イサク、ヤコブの神よ。私もまた、不信者のために祝福を祈る者とならせてください。主イエス・キリストの御名によって祈ります。アーメン。
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