4 これは天と地が創造されたときの経緯である。神である【主】が地と天を造られたとき、
5 地には、まだ一本の野の灌木もなく、まだ一本の野の草も芽を出していなかった。それは、神である【主】が地上に雨を降らせず、土地を耕す人もいなかったからである。
6 ただ、水が地から湧き出て、土地の全面を潤していた。
7 神である【主】は土地のちりで人を形造り、その鼻にいのちの息を吹き込まれた。そこで人は生きものとなった。
創世記2:4には、「これは天と地が創造されたときの経緯である」とある。「経緯」はヘブル語で「トルドット」である。この言葉は、創世記の構成を理解するために非常に重要なキーワードである。「トルドット」の意味は、家系、系図、子孫、歴史などであるが、意訳すると「○○のその後の展開」という意味になる。創世記は、「トルドット」という言葉によって11の部分に分かれる。第1のトルドットは、創世記2:4〜4:26である。その内容は、神によって創造された天と地がその後どうなったかということである。第1のトルドットの最初に、人間の創造の記事が出てくる。
ヘブル文学においては、「再記述の法則」というものがある。一度解説したことを、再度詳細に取り上げるというのがその内容である。人間の創造は創世記1:26〜31に出ていたが、この箇所で、より詳細に再度記述される。これは再記述の法則の実例である。
(1)「地には、まだ一本の野の灌木もなく、まだ一本の野の草も芽を出していなかった」(5節)とは、エデンの園の状態である。やがて最初の人間(アダム)が、そこに置かれることになる。(2)「神である主は土地のちりで人を形造り、その鼻にいのちの息を吹き込まれた。そこで人は生きものとなった」(7節)。「土地」はヘブル語で「アダマー」であり、「人」はアダムである。つまり、「アダマー」から形造られたので「アダム」と呼ぶのである。これはヘブル語の言葉遊びである。(3)人間は、土地のちりから造られているので、自然界の一部である。これは、人間の始まりがいかに取るに足りないものであるかを教えている(創3:19参照)。(4)しかし人間は、その鼻に「いのちの息」が吹き込まれたので、崇高な存在となった。人間の内面は、動物とは異なる。「いのちの息」の実態が「神のかたち」である。
私たちは、地のちりから造られた無価値な存在であるという自己認識と、「神のかたち」に似せて造られた尊い存在であるという自己認識の両方を持つ必要がある。人間には、自分の業績(何ができるか、何を為し得たか)によって自分の価値を量ろうとする傾向がある。しかし、人間に価値を与えたのは神ご自身である。私たちは、「いのちの息」が与えられているがゆえに、尊いのである。神の判断基準に従って自分を評価し、隣人を評価する人は、幸いである。
きょうの祈り
天地創造の神よ。あなたの判断基準に従って、自分自身の価値を判断することができますように。主イエス・キリストの御名によって祈ります。アーメン。
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