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申命記5:19〜20 (新改訳2017)

19 盗んではならない。

20 あなたの隣人について、偽りの証言をしてはならない。

第8戒と第9戒

第8戒

 「盗んではならない」。これが第8 戒である。(1)物品を盗むことは、第10 戒が実際の行為を起こす前の段階(他人のものを欲しがるという段階)で禁じている。(2)ここで使われている「盗む」(ヘブル語でガナブ)という動詞は、物品の盗みにも使用されるが、その意味はより広範囲に及ぶ。(3)誘拐ゆうかいもその範疇はんちゅうに入る。申命記24:7 がその例である。「人がその同胞、イスラエルの子らのうちの一人を誘拐し、奴隷として扱うか売りとばしたことが見つかった場合、誘拐した者は死ななければならない。こうして、あなたの中からその悪い者を除き去りなさい」。(4)無形のものを奪うことも、盗みの範疇に入る。個人の尊厳、自由、人権などを奪う場合がそれである。(5)さらに、他人をだまして利益を得る場合も、これに含まれる。

第9戒

 「あなたの隣人について、偽りの証言をしてはならない」。これが第9 戒である。(1)使用されている言葉を見ると、法廷での状況が想定されていることが分かる。正義を保持するためには、法廷での証人の証言が真実であることが要求される。それゆえ、うそ、誇張、省略などを含んだ証言は、罪とされるのである。(2)しかし、この戒めの適用は、より広く社会生活全般に及ぶものと考えられる。隣人の評判を落とすような噂話うわさばなしや作り話は、この命令に違反するものである。
 第6 戒から第9 戒までをまとめると、次のようになる。第6 戒は命の保護、第7 戒は家庭の保護、第8 戒は財産の保護、第9 戒は評判の保護を目的とする。これらの戒めは、すべて契約の民の共同体生活を守るためのものである。契約の民としてのアイデンティティを保持することが、約束の地での幸せな生活につながる。新約時代に生きる私たちも、十戒から多くの適用を学ぶことができる。十戒を要約すると、神への愛と隣人への愛を実行せよということになる。

年間聖書通読

ヨブ記40〜42、ヘブル人への手紙7