サポートする

申命記5:6〜7 (新改訳2017)

6 「わたしは、あなたをエジプトの地、奴隷の家から導き出したあなたの神、【主】である。

7 あなたには、わたし以外に、ほかの神があってはならない。

第1戒

十戒の再記述

 ここでモーセは、十戒を再度記述している。その目的は、これから始まる律法の解説の文脈を提供するためである。言い換えると、十戒が律法解説のテキストとなり、モーセがそれを解き明かしていくということである。十戒への言及は、すでに出エジプト20:1 〜17 に出ていた。しかも、文章はこの箇所とほとんど同じである。しかし、申命記5 章に出て来る十戒の記述は、単なる繰く り返しではない。文脈が異なると、記述の目的も変わってくる。微妙な言葉使いの違いに着目することにより、モーセの意図が読み取れるようになる。申命記に出て来る十戒の内容を、新しい文脈の中で読み解いてみよう。モーセの意図が鮮明に見えてくるはずである。

第1戒

 「わたしは、あなたをエジプトの地、奴隷の家から導き出したあなたの神、【主】である」。(1)申命記5:6 は、第1 戒だけでなく、それ以外の9 戒を理解するためにも、極めて重要な役割を果たしている。この部分は、出エジプト記にある記述と同じである。(2)出エジプトの出来事から40 年が経過し、新しい世代が育っているわけだが、それでも律法への従順を命じる根拠は、【主】がイスラエルの民をエジプトの国、奴隷の家から連れ出したという出来事にある。(3)イスラエルの民は、出エジプトを体験した(あがなわれた)結果、聖なる神への愛を表現し、その神と親しく交わることができるようになった。律法は、業による救いを得るために与えられているのではない。まず贖いがあり、次に律法が来る。この順番を忘れてはならない。
 「あなたには、わたし以外に、ほかの神があってはならない」。(1)「ほかの神」とは、異教の民が礼拝している神々で、偶像神の形で存在していた(もちろん、実態はない)。(2)この命令は、第1 世代の者にも重要なものであったが、常に偶像にかれて行く傾向のある第2 世代の者には、より切実で的を射たものとなっている。
 この命令は、新約時代に生きる私たちにもそのまま適用されるものである。神の恵みによって霊的奴隷状態から解放された私たちは、生活のすべての分野において、神を第一とする必要がある。私たちのために神が払ってくださった犠牲に感謝するなら、従順な生活は可能になる。神以外のものに関心を払うなら、それが偶像礼拝である。私たちの心の中を聖霊によって吟味していただこうではないか。

年間聖書通読

ヨブ記25〜27、ヘブル人への手紙3