44 これは、モーセがイスラエルの子らに示したみおしえである。
45 これらはさとしと掟と定めであり、イスラエルの子らがエジプトを出たとき、モーセが彼らに告げたものである。
46 そこはヨルダンの川向こう、アモリ人の王シホンの地のベテ・ペオルの前にある谷であった。このシホンはヘシュボンに住んでいたが、モーセとイスラエルの子らがエジプトから出て来たときに、彼らは彼を討った。
47 そして、シホンの地と、バシャンの王オグの地を占領した。そこはヨルダンの川向こう、東の方にいた二人のアモリ人の王の地で、
48 アルノンの渓谷の縁にあるアロエルからシーオン山、すなわちヘルモンまで、
49 またヨルダンの川向こう、東側のアラバの全土、ピスガの傾斜地のふもとにあるアラバの海までであった。
この箇所は、モーセ自身が語った言葉そのものではなく、編集的コメントとなっている。つまり、モーセが民に語っているのではなく、モーセがこれまでに語って来た内容を要約しているということである。
「これは、モーセがイスラエルの子らに示したみおしえである。これらはさとしと掟と定めであり、イスラエルの子らがエジプトを出たとき、モーセが彼らに告げたものである」。(1)イスラエルの民は、【主】の力と恵みによってエジプトを脱出し、シナイ山で【主】と契約を結んだ。(2)イスラエルの民には、【主】の律法に忠実であることが求められた。契約を守るとは、【主】の律法に忠実に生きることを意味している。
「そこはヨルダンの川向こう、アモリ人の王シホンの地のベテ・ペオルの前にある谷であった。このシホンはヘシュボンに住んでいたが、モーセとイスラエルの子らがエジプトから出て来たときに、彼らは彼を討った。そして、シホンの地と、バシャンの王オグの地を占領した。そこはヨルダンの川向こう、東の方にいた二人のアモリ人の王の地で、」。(1)モーセが民に語りかけている場所は、ヨルダン川の東側、シホン(エモリ人の王)の国のベテ・ペオルの前の谷である。(2)イスラエルの民は、エジプトを出て来た時にシホンを打った。また、バシャンの王オグも滅ぼした。
「アルノンの渓谷の縁にあるアロエルからシーオン山、すなわちヘルモンまで、またヨルダンの川向こう、東側のアラバの全土、ピスガの傾斜地のふもとにあるアラバの海までであった」。(1)シホンとオグを打った結果、イスラエルの民がヨルダン川の東側で獲得する領地の範囲が明確になった。(2)アルノン川は、モアブの地の北端である。そこから北に向かってヘルモン山までが、イスラエルの領地となった。(3)さらに、ヨルダン渓谷と死海を含む地域も、イスラエルの領地となった。
この箇所は、歴史の回顧と律法の解説をつなぐ連結器の役割を果たしている。それゆえ読者にとっては、申命記を読み進むためのガイドラインになっている。次回の箇所(5 章)から、モーセによる律法の解説が始まる。律法に従順に生きるのは、それによって救いを得るためではなく、すでに救われた者として神に忠実に生きるためである。私たちが「キリストの律法」に忠実に生きようとするのも、それと同じ理由からである。神を愛する者は、神の命令を守る。
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