1 さて、ある人々がユダヤから下って来て、兄弟たちに、「モーセの慣習に従って割礼を受けなければ、あなたがたは救われない」と教えていた。
2 そしてパウロやバルナバと彼らとの間に激しい対立と論争が生じたので、パウロとバルナバと、その仲間のうちの幾人かが、この問題について使徒たちや長老たちと話し合うために、エルサレムに上ることになった。
3 彼らは教会の人々に見送られ、フェニキヤとサマリヤを通る道々で、異邦人の改宗のことを詳しく話したので、すべての兄弟たちに大きな喜びをもたらした。
4 エルサレムに着くと、彼らは教会と使徒たちと長老たちに迎えられ、神が彼らとともにいて行われたことを、みなに報告した。
5 しかし、パリサイ派の者で信者になった人々が立ち上がり、「異邦人にも割礼を受けさせ、また、モーセの律法を守ることを命じるべきである」と言った。
「そしてパウロやバルナバと彼らとの間に激しい対立と論争が生じたので、」。パウロとバルナバは、ユダヤ主義者たちの誤った教えに挑戦した。彼らの教えは、アンテオケ教会の内部に激しい亀裂をもたらすものである。さらに、このまま放置すれば、将来の異邦人伝道を妨害する脅威となる。では、ユダヤ主義者たちが誤った救済論を主張した原因は、何か。
(1)彼らは、ヘブル語聖書(旧約聖書)しか持っていなかったので、恵みによる救いを理解できなかった。この時点では、ガラテヤ人への手紙は、書かれたばかりであった(新約聖書の最初の書)。この手紙は、クリスチャンの自由(キリストにある自由)を教えたものである。(2)旧約聖書は、信者に割礼を命じている(創17:12、14、出12:48 ~ 49 など参照)。さらに、主イエスも使徒たちも、全員割礼を受けていた。そう考えると、異邦人に割礼を施さないのは差別的とさえ思える。(3)旧約聖書の預言者たちは、異邦人がエルサレムに流れて来ると預言していた(イザ2:2 ~ 3、ゼカ8:23 参照)。これらの預言が、異邦人が大量にユダヤ教に改宗した時に成就すると考えても非論理的とは言えない。しかし、これらの預言は、終末的な神の国の成就を預言したものである。ユダヤ主義者たちが神の計画を体系的に理解するのは、容易なことではなかったのである。(4)異邦人信者が急速に増加することは、ユダヤ人信者にとっては脅威と見なされた。異邦人信者は、トーラーに無知であり、偶像礼拝の背景を持っている。そのような異邦人信者が増えると、ユダヤ人伝道そのものが難しくなる。それゆえ、異邦人信者は、口伝律法を守るという条件で、教会に受け入れるべきであると、ユダヤ主義者たちは考えた。
「パウロとバルナバと、その仲間のうちの幾人かが、この問題について使徒たちや長老たちと話し合うために、エルサレムに上ることになった」。論争が決着しなかったので、アンテオケ教会は、エルサレムに代表団を派遣した。この重要な神学的テーマに関して、正式かつ最終的に結論を出そうとしたのである。パウロ、バルナバ、その他数人が、代表団としてエルサレムに派遣された。話す相手は、エルサレムの使徒たちと長老たちである。誤った教理を見過ごしにすることはできない。真理のための戦いは、今も続いている。日々のデボーションを通して、真理に立ち続けよう。
きょうの祈り
天の父なる神さま。今も真理は攻撃を受けています。私においては、真理に立ち続け、真理のために戦うことができるよう、助けてください。主イエス・キリストの御名によって祈ります。アーメン。
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歴代誌 第一2~3、ヨハネの黙示録1
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