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使徒の働き11:27 ~ 30

27 そのころ、預言者たちがエルサレムからアンテオケに下って来た。

28 その中のひとりでアガボという人が立って、世界中に大ききんが起こると御霊によって預言したが、はたしてそれがクラウデオの治世に起こった。

29 そこで、弟子たちは、それぞれの力に応じて、ユダヤに住んでいる兄弟たちに救援の物を送ることに決めた。

30 彼らはそれを実行して、バルナバとサウロの手によって長老たちに送った。

アンテオケ教会の善行(2)

預言者アガボ

「その中のひとりでアガボという人が立って、世界中に大ききんが起こると御霊によって預言したが、はたしてそれがクラウデオの治世に起こった」。(1)預言者たちのリーダーは、アガボという人であった。彼は、使徒の働きの中で2つの預言を語っているが、これが最初のものである(次の預言は使211011)。(2)彼は、世界中をおそおうとしている大ききんに備えるように警告を発した。彼は、「御霊によって預言した」。預言者に神からの啓示を与えるのは、聖霊の働きである。「世界中」とは、当時のローマ世界全体である。つまり、ローマ帝国全土に大ききんが起こるということである。アンテオケ教会は、恐らく経済的に裕福な教会であったと思われる。それに対して、エルサレム教会はまずしい教会であった(初期の頃は、人々は自分の持ち物を売ってそれを共有していたが、その方法は、やがて資産の枯渇こかついたる)。(3)アガボの預言は、神からアンテオケ教会に与えられたメッセージである。もしこの預言が成就しなかったなら、アガボは偽預言者である。(4)アガボの預言は、クラウデオ帝の治世に成就した。クラウデオの治世は、紀元4454 年である。ききんは、アガボが預言したその年に始まった。ユダヤ人史家のヨセフスは、紀元4449 年の5 年間に、何度かききんが襲ったと記している。特に、紀元46 年のききんが激しかったと彼は書いている。

アンテオケ教会の信者たちの準備

「そこで、弟子たちは、それぞれの力に応じて、ユダヤに住んでいる兄弟たちに救援の物を送ることに決めた」。(1)アンテオケ教会の信者たちは、すぐに応答した。彼らは、ユダヤに住んでいる兄弟たちに救援を送ることに決めた。「援助の物」とは、援助金のことである。(2)ききんが来る前から準備が始まった。全員が、それぞれの力に応じて捧げた。つまり、組織的に準備を行ったのである。(3)神学的には、ユダヤ人と異邦人の間の「へだての壁」はすでに取り除かれた。しかし、その真理を知ることと、それを前提に行動を起すことは、別問題である。パウロは、こう書いている。「キリストこそ私たちの平和であり、二つのものを一つにし、へだての壁を打ちこわし、ご自分の肉において、敵意を廃棄はいきされた方です。敵意とは、さまざまの規定から成り立っているいましめの律法なのです」(エペ2:1415a)。ユダヤ人信者と異邦人信者は、「新しいひとりの人」とされた。これが聖書的教会論である。

きょうの祈り

天の父なる神さま。恵みによって真理を知りました。真理に基づく行動ができるよう導いてください。主イエス・キリストの御名によって祈ります。アーメン。

年間聖書通読

ヨブ記22~24、ヘブル人への手紙2