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ローマ人への手紙13:1 〜 7

1 人はみな、上に立つ権威に従うべきです。神によらない権威はなく、存在している権威はすべて、神によって立てられたものです。

2 したがって、権威に逆らっている人は、神の定めにそむいているのです。そむいた人は自分の身にさばきを招きます。

3 支配者を恐ろしいと思うのは、良い行いをするときではなく、悪を行うときです。権威を恐れたくないと思うなら、善を行いなさい。そうすれば、支配者からほめられます。

4 それは、彼があなたに益を与えるための、神のしもべだからです。しかし、もしあなたが悪を行うなら、恐れなければなりません。彼は無意味に剣を帯びてはいないからです。彼は神のしもべであって、悪を行う人には怒りをもって報います。

5 ですから、ただ怒りが恐ろしいからだけでなく、良心のためにも、従うべきです。

6 同じ理由で、あなたがたは、みつぎを納めるのです。彼らは、いつもその務めに励んでいる神のしもべなのです。

7 あなたがたは、だれにでも義務を果たしなさい。みつぎを納めなければならない人にはみつぎを納め、税を納めなければならない人には税を納め、恐れなければならない人を恐れ、敬わなければならない人を敬いなさい。

国家との関係(2)

再度ロマ書13 章1 節について

ローマ13:1の背景を考察します。パウロは、「人はみな、上に立つ権威に従うべきです」(1節a)と命じています。当時、ローマ帝国内でのキリスト教会は、非常に弱々しいものでした。そういう状況下にあって、パウロは国家権力に従順であるようにと命じたのです。

新約聖書に関係のある皇帝

(1)アウグスト(BC27〜 AD14年)。彼は、ルカ2:1で、全世界の住民登録を命じた皇帝として登場しています。(2)テベリオ(ティベリウス)(1437年)。ルカ3:1に登場。「皇帝テベリオの治世の第十五年、ポンテオ・ピラトがユダヤの総督、…アンナスとカヤパが大祭司であったころ、神のことばが、荒野でザカリヤの子ヨハネに下った」。(3)カリギュラ(3741年)。キリストの復活と教会誕生の数年後に皇帝になった人物。彼の時代には、すでにローマに信者がいたと思われますが(使2:10)、彼が信者を迫害したという記録はありません。エルサレム神殿に自分の像を建てようとしてユダヤ人の反対に会い、それを断念しました。即位の半年後に気が狂い、親戚のほとんどを殺しています(食事をしながら人々を拷問ごうもんにかけ、殺した)。愛馬をカウンセラーにしたことでも有名です。最後は、近衛兵このえへいによって殺害されました。(4)クラウデオ(クラウディウス)(4154年)。カリギュラの叔父おじ48年、妻のメッサリーナを殺し、めいの小アグリッピナ(カリギュラの妹)と再婚しましたが、54年に、彼女によって毒殺されました。彼は、49年、ユダヤ人をローマから追放した皇帝です(使18:2参照)。(5)ネロ(5468年)。パウロがロマ書を書いたのは、このネロの時代です(57年頃)。彼は、15歳で皇帝になり、22歳で母を殺しています。それから3年後に離婚し、妻までも殺しました。64年のローマの大火の責任をクリスチャンに負わせたことで、悪名高い皇帝になりました。
このような歴史的背景を知ると、パウロが、不信者の政府、神なき組織にも従うように命じたことの重みが分かってきます。パウロは、宣教のための秩序を第一に考えていました。地上の支配者は過ぎ去りますが、福音のメッセージは、永遠に続きます。ペテロは、ネロの迫害によりローマで殉教じゅんきょうしました(エウセビオス『教会史』)。パウロもまた、67年頃、ネロの迫害によって殉教したと言われています。パウロはまさに、「聖い、生きた供え物」となったのです。

きょうの祈り

天の父なる神さま。私もまた、永遠の視点から今を眺め、判断することができますように。不変の真理を伝えることこそ、最重要課題です。主イエス・キリストの御名によって祈ります。アーメン。

年間聖書通読

申命記25~26、マタイの福音書26