誇り高き民

これまでに異教徒の罪（1：18〜2：16）について論じてきたパウロは、きょうの箇所から、ユダヤ人の罪（2：17〜3：8）について論じ始めます。ユダヤ人の自己認識が17〜20節に記されています。「もし、あなたが自分をユダヤ人ととなえ、律法を持つことに安んじ、神を誇り、みこころを知り、なすべきことが何であるかを律法に教えられてわきまえ、また、知識と真理の具体的な形として律法を持っているため、盲人の案内人、やみの中にいる者の光、愚かな者の導き手、幼子の教師だと自任しているのなら、」とあります。
（1）「ユダヤ人」（ユーダイオス）（ヘブル語のイェフダー）という言葉の意味は、「誉ほまれ」、「神をほめたたえる」などです。これは創世記29：35から出ている言葉です。（2）ユダヤ人は、誇り高き民です。① 彼らは、律法を持つことに安んじています。② 神を誇りとしています。③ 神の御心を知っています。④ なすべきことが何であるかをわきまえています。⑤ 自らを、盲人の案内人、やみの中にいる者の光、愚かな者の導き手、幼子の教師と自任しています。以上のことは、すべて霊的資質に関することです。

言行不一致の罪

ユダヤ人の行動を見てみましょう。（1）彼らの罪は、言行げんこう不一致ということです。① 人を教えながら、自分自身を教えないのです。② 盗むなと説きながら、自分は盗むのです。③ 姦淫するなと言いながら、自分は姦淫するのです。④ 偶像を忌みきらいながら、自分は神殿の物をかすめるのです。⑤ 律法を誇りとしながら、律法に違反し、神を侮っているのです。（2）その結果、ユダヤ人の信じている神が侮られています。「神の名は、あなたがたのゆえに、異邦人の中で汚けがされている」（イザ52：5の引用）とあります。（3）特権には責任が伴うのですが、ユダヤ人はその責任を果たしていません。特権そのものは、救いではありません。特権が与えられているからと言って、ユダヤ人がすぐれているわけではないのです。
言行不一致の罪は、私たちに関係したものでもあります。今、以下のことを確認し、聖霊に心を探っていただきましょう。（1）私は、自分に与えられた特権（恵み）に伴う責務を果たしているだろうか。（2）語っていることと行動とが一致しているだろうか。言行不一致の罪から解放されるためには、聖霊の力が必要です。すでに内住ないじゅうしておられる聖霊に、生活のすべての部分を明け渡そうではありませんか。