召されたという言葉の意味

パウロのあいさつ文の4 回目の学びです。これまでに、パウロという名前、しもべという言葉の意味について学びました。今回は「召された」という言葉の意味について考えます。
（1）パウロは、「使徒として召された」と書いています。パウロの使徒としての資格を疑う人が多かったからです。彼は、かつては教会を迫害した者として疑いの目をもって見られていました。また、ユダヤ人信者からは律法を否定する者、恵みを強調することによって放縦ほうじゅうな生活を助長している者と非難されました。（2）パウロは、自らの使徒としての資格は、神からの召しにあると主張しました。①「神のみこころによってキリスト・イエスの使徒として召されたパウロ」（1コリ1：1）。②「使徒となったパウロ─私が使徒となったのは、人間から出たことでなく、また人間の手を通したことでもなく、イエス・キリストと、キリストを死者の中からよみがえらせた父なる神によったのです─」（ガラ1：1。さらに2コリ11：23参照）。（3）ロマ書執筆当時は、その戦いは下火になっていましたが、それでも彼は「召し」について書かざるを得なかったのです。伝道者（牧師）は、人間の組織によって召しの認定を受けるのではありません。神学校の卒業証書や学位は、召しの認定にはなりません。伝道者には、神から召されたという強い確信が必要です。

「使徒として」

（1）ギリシア語で「アポストロス」です。この言葉には、遣わされた者、メッセンジャーなどの意味があります。使徒職は、教会に与えられた最高の賜物です（1コリ12：28）。（2）ユダヤ的考え方では、遣わされた者は「代理人」です（ヘブル語でシャリアハ）。遣わされた者は遣わした者と同一人物である、つまり、同じ権威をもって行動し交渉（商売）するという理解がそこにあります。エリエゼルはアブラハムの代理人として行動しました（創24章）。モーセもまた神の代理人としてエジプトに遣わされました（出3：14 〜15）。新約聖書にも「代理人」の概念があります。イエスは究極的な意味で、神の「代理人」です。「神がお遣わしになった方は、神のことばを話される。神が御霊を無限に与えられるからである」（ヨハ3：34）。福音を語る者には神の代理人としての自己認識が必要です。啓示された神のことばを正確に伝えることができるように、みことばの学びに力を入れようではありませんか。