2 度目の宮きよめ

最初の宮きよめは、公生涯の始まりに行われた（ヨハ2 章）。この箇所に記されているのは、2 度目の宮きよめである。この出来事は、イエスがメシアとしてエルサレムに入城された翌日、つまりニサンの月の11 日（月曜）の朝に起こった（マコ11：12、15 参照）。イエスが激怒された理由は、神殿が商売の場になっていたからである。（1）ユダヤ人たちが納めることになっていた半シェケルの神殿税は、ツロ貨（銀の含有量がんゆうりょうが高い貨幣かへい）に限定されていた。そのため、離散の地からエルサレムに上って来た巡礼者たちは、両替人に高い手数料を払って、手持ちの貨幣をツロ貨に両替する必要があった。（2）神殿で捧げるいけにえの動物は、市価よりも高い値段で売られていた。（3）これらの商売を仕切り、甘い汁を吸っていたのは、大祭司の一家であった。
イエスの憤りの原因は、「祈りの家」であるべき神殿が商売の場（強盗の巣）になっていたことにある。イエスは、宮の中で売り買いする者たちをみな追い出された。この行為は、イエスによるメシア性の主張と理解すべきである。この行為を通して、イエスはご自身の「宮に対する所有権」を主張されたのである。イエスこそ「神殿の主」である。大祭司を頂点とした祭司階級の者たちは、すぐにでもイエスを殺したいと思ったが、群衆が暴動を起こすことを恐れた。その後もイエスは木曜日まで毎日宮に来られたが、いつも群衆がその周りにいたので、イエスを逮捕する機会はなかった。祭司たちにその機会を提供するのが、イスカリオテのユダである。

子どもたちの賛美

イエスに敵意を抱いた指導者たちは、子どもたちまでが「ダビデの子にホサナ」と叫んでいるのを聞いて、腹を立て、イエスに抗議した。しかしイエスは、詩篇8：2 を引用し、幼子たちの賛美は預言の成就であると主張した。これは、子どもたちがイエスはメシアであると宣言し、イエスがそれを承認されたということである。この時点では、すでにユダヤ人たちは国家的にイエスのメシア性を拒否していた。つまり、回帰不能点を超えていたのである。それでも個人的にイエスを信じる者は起こされていた。ここに出てくる子どもたちもそうである。主は、彼らの信仰と賛美を喜ばれた。私たちも、周りの人々がなんと言おうとも、幼子のようになって、イエスこそ主であることを告白すべきである。主は、幼子のような信仰を喜んでくださる。