サポートする

マタイの福音書16:13 ~ 17

13 さて、ピリポ・カイザリヤの地方に行かれたとき、イエスは弟子たちにたずねて言われた。「人々は人の子をだれだと言っていますか。」

14 彼らは言った。「バプテスマのヨハネだと言う人もあり、エリヤだと言う人もあります。またほかの人たちはエレミヤだとか、また預言者のひとりだとも言っています。」

15 イエスは彼らに言われた。「あなたがたは、わたしをだれだと言いますか。」

16 シモン・ペテロが答えて言った。「あなたは、生ける神の御子みこキリストです。」

17 するとイエスは、彼に答えて言われた。「バルヨナ・シモン。あなたは幸いです。このことをあなたに明らかに示したのは人間ではなく、天にいますわたしの父です。

ペテロの信仰告白

ピリポ・カイザリヤにて

この箇所かしょを理解するためには、ピリポ・カイザリヤの地理を知っておく必要がある。(1)ピリポ・カイザリヤは、ヘルモン山のふもとに建てられた町で、元の名を「パニアス」と言った。ここは偶像ぐうぞう礼拝の町で、偶像神「パン」の宮がヘレニズム時代からあった。(2)ローマ皇帝こうていアウグストからこの町を与えられたヘロデ大王は、そこに皇帝崇拝すうはいの神殿を建てた。その後、その子ヘロデ・ピリポが町をローマ風に拡張し、皇帝テベリオに敬意を表して、「ピリポ・カイザリヤ」(ピリポが建設したカイザリヤという意味)と命名した。(3)この町は、切り立ったがけ(巨大な岩山)を背に立っていた。その崖には巨大な洞窟どうくつがあり、そこから大量の水が流れ出していた。その流れが、4 つあるヨルダン川の源流の一つバニヤス川となっていた。川底には、大小さまざまな小石が無数に散らばっていた。
このような地形の場所に、イエスは弟子たちを連れて退しりぞかれた(町そのものは異邦人の町だったので、イエスがそこに足をみ入れた可能性は極めて低い)。なんの妨害ぼうがいも入らない場所で弟子たちと交わり、彼らから信仰告白を引き出すためであった。

イエスの質問

(1)イエスは、こう質問をされた。「人々は人の子をだれだと言っていますか」。弟子たちは答えた。「バプテスマのヨハネ(死から復活したヨハネ)だと言う人もあり、エリヤ(マラキ書4 章の預言の成就)だと言う人もあります。またほかの人たちはエレミヤ(涙の預言者)だとか、また預言者のひとりだとも言っています」。つまり、人々はイエスが超自然的な権威けんいを持っていることは認めていたが、イエスがメシアであるという理解にはいたっていなかったのである。(2)次にイエスは、「あなたがたは、わたしをだれだと言いますか」と問いかけた。「あなたがた」という言葉に強調点がある。ペテロが弟子集団を代表して答えた。「あなたは、生ける神の御子キリストです」。(3)イエスはその告白を大変喜ばれ、「このことをあなたに明らかに示したのは人間ではなく、天にいますわたしの父です」と言われた。
イエスが神の御子キリスト(メシア)であることを信じ、告白している人は、幸いである。私たちは、天の父が示してくださったので、その告白をすることができるようになった。今、自分がいかに祝福されているかを思い、天の父に感謝しよう。また、先に救われた者に与えられている使命について、黙想もくそうしてみよう。

きょうの祈り

天の父なる神さま。私があなたを選んだのでなく、あなたが私を選んでくださいました。あなたからの召しに忠実に歩ませてください。主イエス・キリストの御名によって祈ります。アーメン。

年間聖書通読

伝道者の書5~6、ヘブル人への手紙8