23 そのころ、この道のことから、ただならぬ騒動が持ち上がった。
24 それというのは、デメテリオという銀細工人がいて、銀でアルテミス神殿の模型を作り、職人たちにかなりの収入を得させていたが、
25 彼が、その職人たちや、同業の者たちをも集めて、こう言ったからである。「皆さん。ご承知のように、私たちが繁盛しているのは、この仕事のおかげです。
26 ところが、皆さんが見てもいるし聞いてもいるように、あのパウロが、手で作った物など神ではないと言って、エペソばかりか、ほとんどアジヤ全体にわたって、大ぜいの人々を説き伏せ、迷わせているのです。
27 これでは、私たちのこの仕事も信用を失う危険があるばかりか、大女神アルテミスの神殿も顧みられなくなり、全アジヤ、全世界の拝むこの大女神のご威光も地に落ちてしまいそうです。」
(1)パウロがエペソを出ようとする前に、暴動が起こった。「ただならぬ騒動」(新改訳)、「大変な騒ぎ」(新改訳2017)、「no small disturbance」。これは、パウロの伝道がいかに大きな影響を与えていたかを示す騒動である。(2)「この道のことから」(新改訳)、「この道のことで」(新改訳2017)。「この道」とは、キリスト教のことである。イエスの弟子たちは、「この道の者」と呼ばれた(使9:2 参照)。この暴動はパウロ個人に向けてではなく、福音の影響力に対して起こったものである。福音には社会を変革する力があるので、それを阻止しようとする力が働くのである。
「・・・デメテリオという銀細工人がいて、銀でアルテミス神殿の模型を作り、職人たちにかなりの収入を得させていたが、・・・」。(1)異邦人が礼拝していた女神には、二つのものがあった。①一つは、狩猟の女神である(弓を持った娘として描かれる)。②もう一つは、豊穣の女神である(多くの乳房を持った婦人として描かれる)。エペソで礼拝されていたのは、豊穣の女神である。2種類の女神の呼び名は同じで、ギリシア語でアルテミス、ラテン語でディアナであった。(2)当時、アルテミス礼拝は少なくともローマ帝国内の33箇所で行われていた。その中心が、エペソであった。(3)アルテミス神殿は、当時の世界七不思議の一つであった。収容人数は、約25,000人である。中央に祀られているご神体は、隕石であった。天から降って来た石が、聖なるものとされることはよくあった。この石の形が、複数の乳房を持った婦人の姿に似ていた。(4)銀細工人デメテリオは、銀で女神像や神殿模型を作り、土産物としていた。彼は、職人たちや同業者たちを集めて、パウロを非難した。(5)デメテリオの演説から、パウロのメッセージの内容とその影響力が分かる。①「手で作った物など神ではない」。②「エペソばかりか、ほとんどアジヤ全体にわたって、大ぜいの人々を説き伏せ、迷わせている」。デメテリオの怒りは、信仰心からではなく、経済的理由から来ている。彼の演説の中には、面子を重んじるアジア文化の特徴が見られる。彼は、自分たちは信用を失う恐れがあると言っている。また、大女神(the Great Mother)の威光が地に落ちる恐れがあるとも言っている。
真の神を認めない者は、別の神を崇めるようになる。偶像、物欲、自己崇拝などはすべて、広義の偶像礼拝である。真の満足は、イエス・キリストを信じることの内にある。
きょうの祈り
聖なる神よ。偶像の内には何もありません。真の満足は、御子イエスを信じることの内にあります。御子にある満たしを感謝します。主イエス・キリストの御名によって祈ります。アーメン。
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