1 さて、私たちが船でイタリヤへ行くことが決まったとき、パウロと、ほかの数人の囚人は、ユリアスという親衛隊の百人隊長に引き渡された。
2 私たちは、アジヤの沿岸の各地に寄港して行くアドラミテオの船に乗り込んで出帆した。テサロニケのマケドニヤ人アリスタルコも同行した。
3 翌日、シドンに入港した。ユリアスはパウロを親切に取り扱い、友人たちのところへ行って、もてなしを受けることを許した。
4 そこから出帆したが、向かい風なので、キプロスの島陰を航行した。
5 そしてキリキヤとパンフリヤの沖を航行して、ルキヤのミラに入港した。
6 そこに、イタリヤへ行くアレキサンドリヤの船があったので、百人隊長は私たちをそれに乗り込ませた。
7 幾日かの間、船の進みはおそく、ようやくのことでクニドの沖に着いたが、風のためにそれ以上進むことができず、サルモネ沖のクレテの島陰を航行し、
8 その岸に沿って進みながら、ようやく、良い港と呼ばれる所に着いた。その近くにラサヤの町があった。
「さて、私たちが船でイタリヤへ行くことが決まったとき、パウロと、ほかの数人の囚人は、ユリアスという親衛隊の百人隊長に引き渡された」。(1)船は、カイザリヤの港から出帆する。「私たち」とあるのは、ルカが同行していることを示している。ルカは、パウロがピリピを去ってから(20:5)、パウロと行動を共にしている。カイザリヤでの2 年間も、パウロに仕えたと思われる。(2)この箇所は、4 回目の「私たち章句」に当たるが、これが最も長いものとなっている(27:1 ~ 28:16)。「私たち章句」は、ルカの記録に信憑性を与えている。彼自身が目撃者として書いているからである。(3)「パウロと、ほかの数人の囚人」とある。パウロはローマ市民なので、他の囚人よりも丁寧な扱いを受けたはずである。他の囚人たちの名前と人数は分からない。恐らく、裁判にかけられるか、剣闘士との戦いで見世物となる異邦人の囚人たちであろう。(4)「ユリアスという親衛隊の百人隊長」が登場する。新共同訳は、「皇帝直属部隊の百人隊長ユリウスという者」と訳している。彼は、名誉ある部隊の百人隊長である。新約聖書に登場する百人隊長たちはみな魅力的な人物だが、ユリアスもまた高貴な人格を持つ百人隊長であった。彼は、パウロに慈悲の心を示すようになる。ユリアスという百人隊長がこの船の指揮を執ったのは、神の摂理である。
「私たちは、アジヤの沿岸の各地に寄港して行くアドラミテオの船に乗り込んで出帆した。・・・」。(1)「アドラミテオの船」とあるのは、アドラミテオ港を母港とする船という意味である。アドラミテオ港は、小アジアのトロアスの東南東に位置する港である。この船は、沿岸に沿って航行する小型船で、冬の嵐の季節が来る前に、母港に戻ろうとしていたのである。百人隊長は、この船に乗り、途中でローマ行きの船に乗り換えようとしている。(2)「テサロニケのマケドニヤ人アリスタルコも同行した」とある。アリスタルコも、ルカと同じようにカイザリヤでの2 年間パウロに仕えた。同行者たちがいたことは、大きな意味を持っていた。彼らの存在は、パウロへの励ましであり、パウロという人物の信頼性の証明でもあった。
苦難を通過する時、神は私たちを特に顧みてくださる。同じ信仰を持った兄弟姉妹たちの存在は、大きな励ましとなる。さらに、神の摂理の御手も、私たちを支える力となる。
きょうの祈り
天の父なる神さま。今も、あなたは摂理の御手によって、私たち信者を支えてくださいます。きょう、あなたを信頼しつつ歩みます。主イエス・キリストの御名によって祈ります。アーメン。
年間聖書通読
サムエル記第一14~15、ルカの福音書23
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