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使徒の働き25:1 ~ 5

1 フェストは州総督として着任すると、三日後にカイザリヤからエルサレムに上った。

2 すると、祭司長たちとユダヤ人のおもだった者たちが、パウロのことを訴え出て、

3 パウロを取り調べる件について自分たちに好意を持ってくれるように頼み、パウロをエルサレムに呼び寄せていただきたいと彼に懇願した。彼らはパウロを途中で殺害するために待ち伏せをさせていた。

4 ところが、フェストは、パウロはカイザリヤに拘置されているし、自分はまもなく出発の予定であると答え、

5 「 だから、その男に何か不都合なことがあるなら、あなたがたのうちの有力な人たちが、私といっしょに下って行って、彼を告訴しなさい」と言った。

新総督フェスト

文脈の確認

カイザリヤでのパウロの幽閉ゆうへいが2 年も続いた。その頃、ローマ本国はユダヤ総督ペリクスを罷免ひめんし、後任にポルキオ・フェストが任命された。ペリクスは、ユダヤ人に恩を売るため、パウロを幽閉したままにしておいた。

ユダヤ人たちの懇願

新総督フェストは、前任のペリクスと比較すると、かなり有能な人物として知られている。ペリクスは暴力で統治したが、フェストは知恵で統治しようとした。(1)彼は、着任の3 日後に、エルサレムに出向いた。エルサレムの重鎮たちと友好な関係を築くためである。(2)ユダヤ人の指導者たちは、新総督に会った。祭司長は24 人おり全員サドカイ派である。「ユダヤ人のおもだった者たち」とは「長老たち」(15 節参照)のことで、彼らはパリサイ派の議員たちである。(3)ユダヤ人たちがパウロを告発してから2 年が経過していたが、前総督のペリクスは、ユダヤ人たちの願い通りには動かなかった。そこでユダヤ人たちは、新総督が着任した機会を捉え、再びパウロを告訴したのである。彼らの怒りがどれほど激しかったかが分かる。(4)彼らは、審理をエルサレムで行うよう懇願した。エルサレムに移送される間に、パウロを暗殺するためである。もしこの願いを聞いてくれるなら、新総督とユダヤ人の関係は、極めて良好なものになるという言外の意味が、そこには込められていた。
ユダヤ人たちはパウロに対して、依然として怒りの感情を抱き続けていた。怒りを抱き続けることは、霊的な窒息死を意味する。時間は必ずしも怒りを癒す要因ではない。怒りの感情をどのように処理すべきか、黙想してみよう。

フェストの回答

フェストは、かなりの情報を得ていたと思われる。パウロをエルサレムに移動させれば、途中で危険が待っていることは予想できた。そこで、知恵ある判断を下した。パウロはすでにカイザリヤにいる。自分も間もなくカイザリヤに向かって出発する予定である。ユダヤ人たちが自分と一緒にカイザリヤに下って行くのがすじである。そうすれば、カイザリヤでパウロの裁判を行おう。
この回答の背後には、パウロを守ろうとする神の御手が働いている。神は多様な方法で働くことができる。その中の一つが、支配者の心に働きかけ、ご自身の御心を成就するというものである。今も神は、この世の支配者たちをご自身の権威の下に置いておられる。このお方に全幅の信頼を置いて歩もうではないか。

きょうの祈り

全知全能なる神よ。いかなる支配者も、あなたの権威の下にあります。私は、あなたに全幅の信頼を置いて歩みます。主イエス・キリストの御名によって祈ります。アーメン。

年間聖書通読

士師記9~10、詩篇31 ~ 32