18 彼らが集まって来たとき、パウロはこう言った。「皆さんは、私がアジヤに足を踏み入れた最初の日から、私がいつもどんなふうにあなたがたと過ごして来たか、よくご存じです。
19 私は謙遜の限りを尽くし、涙をもって、またユダヤ人の陰謀によりわが身にふりかかる数々の試練の中で、主に仕えました。
20 益になることは、少しもためらわず、あなたがたに知らせました。人々の前でも、家々でも、あなたがたを教え、
21 ユダヤ人にもギリシヤ人にも、神に対する悔い改めと、私たちの主イエスに対する信仰とをはっきりと主張したのです。
22 いま私は、心を縛られて、エルサレムに上る途中です。そこで私にどんなことが起こるのかわかりません。
23 ただわかっているのは、聖霊がどの町でも私にはっきりとあかしされて、なわめと苦しみが私を待っていると言われることです。
24 けれども、私が自分の走るべき行程を走り尽くし、主イエスから受けた、神の恵みの福音をあかしする任務を果たし終えることができるなら、私のいのちは少しも惜しいとは思いません。
今パウロは、エルサレムに上る途上にある。前回の最後の聖句は、使徒20:17 であった。「パウロは、ミレトからエペソに使いを送って、教会の長老たちを呼んだ」。ミレトで船荷を積み降ろすのに、3 日前後かかったであろう。その時間を利用して、パウロはエペソに使いを送って教会の長老たちを呼んだ。彼らが着くのに、早くても2 日はかかる。エペソからミレトに来る長老たちは、大きな犠牲を払ったのである。
このメッセージは、使徒の働きの中では、信者に向けて語られた唯一のメッセージである。その内容は、パウロ書簡のミニチュア版のようで、そこには、励まし、警告、勧めなどが含まれている。また、パウロ書簡に特徴的な語彙が多く出て来る。ルカは、速記でパウロのメッセージの内容をそのまま書き留めたと思われる。ちなみに、当時の医学生たちは、講義内容を速記で書き留めていたと言われている。
まず、使徒20:18 ~ 35 までのメッセージの構造を確認しておこう。これは、メッセージの細部を正確に理解するための準備である。メッセージの構造は以下のようになっている。(1)エペソにおける過去の奉仕(18 ~ 21 節)。この部分は、「you know」で始まる(日本語では「よくご存じです」がそれに当たる)。(2)エルサレムを訪問しようとする現在の計画(22 ~ 24 節)。「and now behold」で始まる(新改訳2017 では「ご覧なさい」と訳されている)。(3)エペソ教会の長老たちの将来の責務(25 ~ 31 節)。「and now behold I know」で始まる(日本語では「いま私は知っています」がそれに当たる)。(4)結びの言葉(32 ~ 35 節)。「and now」で始まる(日本語では「いま私は」となっている)。
パウロのメッセージの構造から、優れたメッセージとはどういうものであるかを学ぶことができる。(1)聖書的であること。神が啓示された内容を理解し、それを正確に伝えることが重要である。(2)論理的であること。神は私たちに知性を与えてくださった。知性を無視したメッセージは、聞く人を動かす力にはならない。(3)実際的であること。適用のないメッセージは、メッセージではない。さらに、その適用は非現実的なものであってはならない。
パウロは、自分に与えられた賜物を用いながら、神から与えられた使命を全うした。私たちが見習うべきリーダーシップの手本は、パウロの内にある。神からの使命を認識し、それを実行している人は幸いである。
きょうの祈り
天の父なる神さま。私にも賜物と、使命とが与えられています。どうか、その使命を全うできるよう、御霊によって導いてください。主イエス・キリストの御名によって祈ります。アーメン。
年間聖書通読
民数記9~10、マタイの福音書7
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