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使徒の働き16:19 ~ 21

19 彼女の主人たちは、もうける望みがなくなったのを見て、パウロとシラスを捕らえ、役人たちに訴えるため広場へ引き立てて行った。

20 そして、ふたりを長官たちの前に引き出してこう言った。「この者たちはユダヤ人でありまして、私たちの町をかき乱し、

21 ローマ人である私たちが、採用も実行もしてはならない風習を宣伝しております。」

ピリピ伝道(7)

迫害

「彼女の主人たちは、もうける望みがなくなったのを見て、パウロとシラスを捕らえ、役人たちに訴えるため広場へ引き立てて行った。そして、ふたりを長官たちの前に引き出してこう言った」。(1)女奴隷の主人たちは激怒した。女奴隷が正気に戻ったので、彼女を使ってもうけることができなくなったからである。彼らは、女奴隷の命よりも金銭を大事にした。(2)彼らは、パウロとシラスを捕らえて訴えた。これまでの迫害はユダヤ人たちから来ていた。迫害の原因は、福音宣教に対する反発であった。しかし、ピリピでの迫害は、それとは異なっていた。この町にはユダヤ人がいないので、迫害は異邦人から来た。迫害の原因は、経済的損失から来る怒りである。(3)裁判は、広場(アゴラ)で行われた。植民都市には、通常2 人の長官が置かれていた。「役人」と「長官」は、同一人物である。長官は、ギリシア語で「ストゥラテゴイ」である。文語訳では「司」と訳されている。この2 人の長官が、ピリピの町における裁判官であった。

訴えの内容

「この者たちはユダヤ人でありまして、私たちの町をかき乱し、ローマ人である私たちが、採用も実行もしてはならない風習を宣伝しております」。(1)女奴隷の主人たちは、本当の動機を隠して訴えを起こしている。彼らは、経済的損失というテーマを愛国心というテーマに切り替えている。(2)この訴因には、反ユダヤ的要素が存在している。この者たちはユダヤ人である。この言葉には、ユダヤ人に対する偏見がある。私たちの町をかき乱している。ローマの宗教があるのに、非合法な宗教を伝えようとしている。当時、ユダヤ教には公認宗教としての地位が与えられていた。つまり、ユダヤ人がユダヤ人に伝道することは許されていたが、ローマ市民に改宗を勧めることは違法であった。主人たちも、長官たちも、この段階では、ユダヤ教とキリスト教の区別をつけていない。パウロが伝えている宗教をユダヤ教の一派だと考えていたのである。
この箇所から、霊的教訓を学ぼう。主人たちは、福音を受け入れた人は天国の市民権を持つようになるという事実を知らなかった。ピリピの住民たちは、ローマの市民権を誇りとした。一方、私たちクリスチャンの誇りは、天国の市民権を持っていることである。クリスチャンにとっては、地上は天国の植民地である。そして私たちは、主イエス・キリストが天から来られるのを待ち望んでいる。

きょうの祈り

恵み深き父なる神さま。主イエスにあって、天国の市民権が与えられていることを感謝します。きょうも喜びを持って歩みます。主イエス・キリストの御名によって祈ります。アーメン。

年間聖書通読

歴代誌 第二27~28、ヨハネの黙示録20