8 それでムシヤを通って、トロアスに下った。
9 ある夜、パウロは幻を見た。ひとりのマケドニヤ人が彼の前に立って、「マケドニヤに渡って来て、私たちを助けてください」と懇願するのであった。
10 パウロがこの幻を見たとき、私たちはただちにマケドニヤへ出かけることにした。神が私たちを招いて、彼らに福音を宣べさせるのだ、と確信したからである。
「パウロがこの幻を見たとき、私たちはただちにマケドニヤへ出かけることにした。神が私たちを招いて、彼らに福音を宣べさせるのだ、と確信したからである」。(1)「私たち」という言葉に注目しよう。ここから一人称複数形の主語になっている。このことから、ルカが宣教チームに加わったことが分かる。その経緯について、ルカは何も書いていない。ルカの控え目な性格が反映されていると思われる。(2)いわゆる「私たち章句」は、使徒16:10 ~ 17、20:5 ~ 15、21:1 ~ 18、27:1 ~ 28:16 に出て来る。これらの箇所では、ルカは目撃者の視点で伝道の記録を残している。(3)幻を見たのはパウロだが、宣教チーム全員がそこに神の導きがあることを確信した。これは、神の導きを判定する際に用いられる重要な原則である。(4)彼らは、直ちにマケドニヤに向けて出発した。この決断は、教会史の中でも特筆すべきものである。一行がエーゲ海を船で渡り、マケドニヤに入ったことで、福音が西回りで全世界に伝えられることになった。
使徒の働きに見られる神の導きの原則とは、次のようなものである。(1)旧約聖書の聖句による導き。使徒の補充に関して、詩篇(詩69:25 と詩109:8)が用いられた(使1:20)。(2)幻による導き。4 人の人物が幻によって導かれている。①アナニヤ(使9:10 ~ 16)、②コルネリオ(使10:3)、③ペテロ(使10:10 ~ 11)、④パウロ(使16:9 ~ 10 と18:9)。マケドニヤ人の幻とコリントでの幻の2 つがある。(3)預言者による導き。アガボによる飢饉の預言(使11:27 ~ 30)とパウロ逮捕の預言(使21:10 ~ 12)がそれである。(4)状況による導き。①迫害による離散、②政治権力による追放や拘束、③嵐による船の難破とその後の展開などがそれである。(5)他の信者の助言による導き。①バルナバとパウロのエルサレム教会への派遣、②ユダとシラスのアンテオケ教会への派遣、③テモテの伝道チームへの参加などがそれである。(6)神からの直接的語りかけによる導き。これは、内的、主観的方法であることが多い。使徒16:6~ 8(トロアスに至る過程での導き)は、直接的語りかけである可能性が大である。
私たちへの適用としては、以下の4 つの導きの方法が考えられる。①聖書、②状況、③他の信者の助言、④内的確信(平安)。特定の導きの方法に固執するよりも、複数の方法に目を留めるべきである。
きょうの祈り
天の父なる神さま。あなたは、聖書、状況、他の信者の助言、内的確信を通して導きを与えてくださいます。どれも見落とすことのないよう助けてください。主イエス・キリストの御名によって祈ります。アーメン。
年間聖書通読
歴代誌 第二13~14、ヨハネの黙示録15
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