書簡を届ける人々（22 節）

ヤコブは、アモス書を引用し、異邦人も信仰と恵みによって救われると論じた。そして、異邦人信者が配慮すべき4 つの禁止令を提案した。エルサレム会議での決定が、それ以降の教会の発展に大きな影響を与えることになる。
「そこで使徒たちと長老たち、また、全教会もともに、彼らの中から人を選んで、パウロやバルナバといっしょにアンテオケへ送ることを決議した。選ばれたのは兄弟たちの中の指導者たちで、バルサバと呼ばれるユダおよびシラスであった」。（1）エルサレム教会は、代表団をアンテオケ教会に派遣することにした。エルサレム会議の結論を伝えるために、2 人のユダヤ人信者（エルサレム教会の指導者たち）が派遣された。彼らは、手紙に書かれた内容が真実であることを証言する証人となる。当時は一般的に、言葉による証言の方がより信頼された。（2）バルサバと呼ばれるユダは、預言者であった（使15：32）。「バルサバ」は、「安息日の息子」という意味である。使徒1：23 に、「バルサバと呼ばれ別名をユストというヨセフ」が登場するが、使徒15 章に登場するバルサバは、その弟かもしれない。彼は、エルサレム教会の中のヘブル語を話すユダヤ人信者の代表として、アンテオケ教会に派遣された。（3）シラスは、ラテン名をシルワノという。彼もバルサバと同じように、エルサレム教会の指導者であり、預言者であった。彼は、パウロと同じように、ローマの市民権を持っていた（使16：37）。彼は、エルサレム教会の中のギリシア語を話すユダヤ人信者の代表である。シラスは、第二次伝道旅行でパウロの同労者として活躍するようになるのだが、ルカは、後に重要な役割を果たす人物を、この自然な流れの中で紹介している（2 コリ1：19、1 テサ1：1、2 テサ1：1 など参照）。さらにシラスは、ペテロの書記でもあった（1 ペテ5：12）。
ここに登場する人物はすべて、イエス・キリストの弟子たちである。彼らは聖霊の導きを正確にキャッチし、聖霊がお命じになったことを具体的に実行に移した。彼らは異邦人伝道が聖書的に正当であることを認定する一方、そこから来る分裂は回避することができた。この会議以降、教会は2 つの分野の伝道に取り組むことになる。①ユダヤ人伝道と②異邦人伝道である。私たちも、聖霊の導きを正確にキャッチすることを学ぼう。そのために必要なのは、聖書研究である。聖霊は、啓示された神のことばを通して働かれる。