6 島全体を巡回して、パポスまで行ったところ、にせ預言者で、名をバルイエスというユダヤ人の魔術師に出会った。
7 この男は地方総督セルギオ・パウロのもとにいた。この総督は賢明な人であって、バルナバとサウロを招いて、神のことばを聞きたいと思っていた。
8 ところが、魔術師エルマ(エルマという名を訳すと魔術師)は、ふたりに反対して、総督を信仰の道から遠ざけようとした。
9 しかし、サウロ、別名でパウロは、聖霊に満たされ、彼をにらみつけて、
10 言った。「ああ、あらゆる偽りとよこしまに満ちた者、悪魔の子、すべての正義の敵。おまえは、主のまっすぐな道を曲げることをやめないのか。
11 見よ。主の御手が今、おまえの上にある。おまえは盲目になって、しばらくの間、日の光を見ることができなくなる」と言った。するとたちまち、かすみとやみが彼をおおったので、彼は手を引いてくれる人を捜し回った。
12 この出来事を見た総督は、主の教えに驚嘆して信仰に入った。
すでに確認したように、第一次伝道旅行の冒頭から、パウロは「先ずユダヤ人に、それから異邦人に」という原則を採用した。この原則は非常に重要なので、パウロがこの原則を採用した理由について復習してみよう。
(1)先ず、実際的理由が考えられる。バビロン捕囚から帰還して以降、各地にユダヤ人共同体が設立された。ユダヤ人の共同体では、成人男子が10 人以上いれば、必ず会堂が建設された。パウロはそのことを良く知っていたので、新しい町に行くと会堂を探し、そこを訪問して、ユダヤ人と神を恐れる異邦人に語りかけた。会堂は、神が用意した伝道のインフラストラクチャーとなったのである。会堂が存在していなければ、パウロの伝道が短時間で成果を上げることはなかったであろう。
(2)次に考えられるのが神学的理由である。神は、先ずユダヤ人を召し、諸契約を彼らとの間で結ばれた。アブラハム契約、シナイ契約、土地の契約、ダビデ契約、そして新しい契約まで、すべて神がユダヤ人との間に結んだ契約である。異邦人である私たちは、「契約に関しては他国人」であった。それゆえ、福音を伝える順番は、先ずユダヤ人、次に異邦人である(使13:46 参照)。パウロは、このことを良く理解していた(ロマ1:16 参照)。
(3)3 番目に考えられるのが心情的理由である。①パウロは、同胞が滅びつつあるのを見て、大いに心を痛めた。同胞の救いのために、「この私がキリストから引き離されて、のろわれた者となることさえ願いたいのです」(ロマ9:1 ~ 5参照)と言うほどであった。②しかしパウロには、異邦人に福音を伝えることは、結果的にユダヤ人の救いにつながるとの確信があった。救われる異邦人の数が満ちた時、教会は携挙され、地上に大患難時代が訪れる。大患難時代はユダヤ人にとっては苦しみの時であるが、その最後に彼らは、イエスこそイスラエルの救い主であることを発見する。ユダヤ人の民族的救いは、メシアが再臨されるための条件である(マタ23:39 参照)。
パウロが心に悲しみを覚えながらも異邦人伝道に献身できた理由は、神の計画に対する終末的な理解があったからである。私たちにも、正しい終末的理解が必要である。将来に希望を持っている人は、今の苦難を乗り越えることができる。
きょうの祈り
天の父なる神さま。正しい終末的理解は、今の苦難を乗り越える力になります。きょうも、希望を持って歩めるよう導いてください。主イエス・キリストの御名によって祈ります。アーメン。
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雅歌7~8、ヤコブの手紙4
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